【進撃の巨人】地下街出身の少女と地下街出身の兵士長 Kapitel２ (ページ23)

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Blutige Vergangenheit15 ページ23

了承はしたものの、やはり家には帰り辛かった。そんなAを察してか、ファーランが突然腕を引っ張った。

「なぁリヴァイ。Aをこのままいったんアジトに連れて行こうぜ」
「…あ？」

何言ってるかわからない、そういうのを隠そうともしないリヴァイにファーランは困った顔になった。

「いや…まぁ、さすがにあの状況じゃ帰りにくいだろ？顔隠すなら何でもいいわけだし、最悪まだ憲兵が来るまでは時間がある。とりあえず怪我人を優先しなくちゃなんねぇだろ？」
「…勝手にしろ」

リヴァイに了承をもらい、ファーランが腕を引いて連れて行く。Aは終始無言だった。アジトについてすぐ、Aは家の中に飛びこんでいった。

「おい、怪我人は…」
「お、俺だが…」
「…見せろ」

いきなり飛び込んできたAに驚きつつ、青年は服をめくった。腕には大きな傷があり、化膿していた。

「…何やったんだ？」
「ちょっと前にへましちまって…ほっといたらこうなってやがった」
「キズができたら応急処置は人間の常識だと思うが…まぁいいや。痛いけど…たえろよ？」

Aはポケットの中に入っていた瓶から綿を取り出し、消毒液の中に入れた。それをピンセットでつまみ、患部におしあてた。

「いだいいだいいだい！ファーラン！！」
「仕方ねぇだろ…ちょっと黙ってくれよ」
「おい…リヴァイ、ありゃなんだ？」
「…さぁな」

あまりの叫びにファーランとリヴァイは引いていた。Aは青年を押さえつけて何回か綿を途中で変えながら傷口を消毒していった。

「…終わった。一応鎮痛剤置いてくから痛みに耐えれなくなったら飲め」
「や、やっとか…」

包帯でぐるぐる巻きになった腕を見て青年は苦笑いした。

「それにしてもあんた、血から強いな。もしかしたらファーランより強いんじゃねぇのか？」
「なっ、おい！」
「ははっ、でも冗談抜きでそうかもな！」
「傷口蹴られたくなかったら早く帰れ！」
「ほいほーい」

包帯を巻いた青年はAに頭を下げて出ていった。部屋の中にはAにリヴァイ、ファーランのみになった。

「それじゃ、僕は一応戻る」
「待て」

ドアノブを掴もうと出した手をAはひっこめた。振り返るとリヴァイが不機嫌そうな顔で立っていた。

「着替えろ」
「家でいいだろ」
「ここでだ」
「…は？」
「これを着て出ていけ」

リヴァイに渡されたのは足元まで隠れる黒いマントだった。