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Blutige Vergangenheit6 ページ14

「昨日…お前は誰に助けられたんだ?」
「…知らない」
「…そうか。なんか…特徴は?」
「…見たことない機械をつけてた。あとは…男のくせに背が低いのと…目つきが悪い」

思い出せば出すほど凶悪な顔しか出てこなかった。

「一人か?」
「うん。仲間はいたけど、あとから来てた」
「そうか…もしかすると、ここらじゃ有名な窃盗団かもな」
「…?」
「聞いたことないか?立体起動装置」
「…巨人を殺すために作られた人類の最高傑作」
「そうだ。それを利用して窃盗をやってるやつらがいるんだ」
「ふーん…まぁ、運が良かった」
「これからは俺が行けない時は出かけるな」
「…なんで」

アバロンの言いだしたことにAは顔をしかめた。

「そんな目にあって一人で行かせられるわけ…そうだ。やっぱり…」
「…なに」
「なぁ、一緒に地上で暮らそうぜ!親父が酒場を地上で開けることになったんだ!お前も一緒に来いよ!」
「…行かない」
「…なんで!ここよりも安全で快適なんだぞ!?」
「…それと反対に、ここでは…わた―――ッ…」
「…どうした?」
「…なんでもない。必要としてくれてる人がいるから…行けない」
「…まったく」

Aは『私』と言おうとして言えないことに気がついた。

(なんで…昨日までは言えたのに…もしかして…拒否反応…)

人間は、一度大きなショックを受けると、それに関するすべてがトラウマになることがあった。Aの場合、女であることががトラウマであるということだ。

「…アバロン。今から出かけるから準備して」
「…あぁ」

何とも言えない空気に耐え切れずにAは何か話題を探した。結局見つからず、出かける話を持ち出したのだった。外に出ると、季節特有の寒さが襲ってきた。

「…寒い」
「大丈夫か?」
「…うん」

それでも、白衣がないためAの身体は凍り付きそうだった。手を温めるために、手もみをしていると、首が突然暖かくなった。

「…なに?これ」
「マフラーだよ」
「それはわかる…アバロンはいいの?」
「俺は男だからな」
「病み上がりが…?」
「う…まぁ、Aが倒れた方が困るだろ?」
「…でも」
「いいって。俺は」
「…ありがとう」

アバロンにもらった白いマフラーを首にしっかりと巻き付け、温もりを受け取った。

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カナタ - ページ25の力強いな、が、血からになっています (2017年6月14日 17時) (レス) id: f50bbbd9e0 (このIDを非表示/違反報告)
ミカサ - 面白い…更新した。 (2017年6月2日 0時) (レス) id: aea40fe94e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:御煉 | 作成日時:2015年9月3日 23時

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