Wartime Karriere23 ページ25
Aが目を覚ましたのは、まだ真っ暗な時間だった。
「…ん」
左手を見ると誰かの手。腕をたどっていくとリヴァイが寝ていた。
「寝た上に、リヴァイの邪魔したのか…」
手を放し、リヴァイを無理やりベッドに乗せる。
「おもっ…どこにそんな重さが…」
ベッドに乗せ終えると、マントとマフラーをつけて部屋を出て外に向かう。朝の朝礼までに戻れば自由。向かった先は墓地。
「イザベル…ファーラン…」
部屋から持ち出したカップとコップ。それぞれを置き、最後に花を置く。イザベルには菜の花、ファーランにはギボウシ。そして、真ん中にスイートピー。全て造花だが、枯れることはない。
「イザベル…ファーラン…会いたいよ…っ」
誰にも見せなかった涙。会いたいという願いと、会えないという現実。リヴァイには見せられない本心。雨がポツリポツリと落ちて、やがて激しい雨になる。遠くで誰かの足音が響く。フードを深くかぶり、マフラーで顔を隠す。立っているのがやっと。どうしようもない悲しみや、やり場のない怒りが込みあがる。抑える術も知らず涙は止まることなく溢れる。雨が涙を流す。それの繰り返し。
「おい」
誰かが誰かを呼ぶ。フードを外される。
「おい」
その声と同時に雨に当たらなくなる。
(やめろよ…泣いてるのがばれるだろ…)
振り返る。
「…リヴァイ」
「雨に濡れたまま立ってる馬鹿がいるか。いや、いたな。…A?」
「あ、うん。帰ろう」
フードをかぶって逃げるように戻ろうとする。が、進めない。
「リヴァイ…なに」
「その顔のまま行くのか」
「そのうち戻る」
「馬鹿かお前は」
腕を引っ張られ、リヴァイに引き寄せられる。リヴァイのスカイブルーの瞳がAの濡れた目を射ぬく。
「…早くしないと、朝礼が」
「そんなことどうでもいい」
「は?」
「大事な妹が泣いてるのにほっとけるか」
「…妹」
「馬鹿力で冷酷で誰よりも自分に不器用で感情を出すのが下手なめんどくさい妹だ」
「…」
「…悪かった」
「え?」
「お前を、そんなんにしたのは俺だ」
「違う…僕は、リヴァイに、そんな風に思ったことない」
「そうか」
帰るぞ、といわれ腕を引っ張られる。体が濡れ、朝の気温で寒かった。それでも、心は温かかった。
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ミレン(プロフ) - カリンさん» ありがとうございます!頑張らせていただきます! (2017年1月25日 7時) (レス) id: b76c4cbd4b (このIDを非表示/違反報告)
カリン - 本当に楽しい作品です!頑張って下さい (2017年1月24日 23時) (レス) id: 156ef3ff5c (このIDを非表示/違反報告)
ミレン(プロフ) - お気に入りの登録してくださった皆様、ありがとうございます!決してなりすましではありません;;w心の底から目を腐らせてしまったことへのお詫びと、見てくださった感謝を申し上げたいと思います。 (2015年11月24日 23時) (レス) id: dbdaa525d4 (このIDを非表示/違反報告)
未恋ハンジ(プロフ) - ここに何かコメントおいてってくれると駄作者が犬のように喜んで駆けずり回ります☆ (2015年8月23日 16時) (レス) id: e4550b7e27 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:御煉 | 作成日時:2015年8月22日 23時