第54話 ページ4
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誰もいない、独りぼっちの部屋の中ベッドに寝転び心の中で愛しい人の名前を呟く。
また窓から手を伸ばしてくれないだろうか
私はここにいると伝わればいいのに
いつか絶対に助けに来てくれると思って窓の外を眺めるが、それは夢物語の話だけで実際には起きない…
あの日、リヴァイさんと出逢えたのは本当に奇跡的なことで、本当は有り得ないことだったのだ。
「…どうしてるかな」
今頃、新しい屋敷での生活も慣れてるかもしれない。ということは、あの地下街の家はもうないのか…
それはそれで寂しい気がするけど。
ふと気が付けば頬に涙が流れて、
思わず枕に顔を埋める。
「思い出しちゃダメだってッ…」
あの頃を思い出したら泣くって分かってるのに、勝手に思い出してしまう。
思い出したら、貴方の名前を叫びたくなる。
涙も溢れて何もかも嫌になる、耐えているこの生活を続けて二度とリヴァイさんに会えないなら死んでもいい、なんて…酷い心情だ。
ここまで私は人に依存するような人だっただろうか
涙を拭いて、ベッドから起き上がると部屋の外が騒がしいことに気付いた。
「…お客さん?」
珍しいと思いながら、
ドアに耳をあて微かな声を聞いてみると、
どこかで聞いた事のある声……
すると、突然ガチャンと
鍵が開く音が響き急いで扉から離れる。
もしかして、あの人が来たんじゃないかと傍にあった本を適当に開いて扉から目を逸らす
だが、しばらく経っても現れることはなく、
ただただ静かに時間は流れていく
そっと本を戻し、扉へと再度向かってみる。耳をあて外の様子を伺うがやはり静かだった
ドアノブを回してみれば、鍵は開いたままだ……
「ッ…」
今しかない…?
震える手でドアノブを回し、ゆっくりと扉を押していく。ゆっくりと開かれた先には眩しく、ここへ来た最初の日以来の綺麗な廊下があった
確か、階段は…
足音を立てず廊下を進んでいく。この先に階段があって、その正面に広間があって…
玄関口はそこを抜けた場所…
息を殺し震える手を自分で握りしめ、
大丈夫、そう何度も言い聞かせた。
階段を降り終え広間を抜けてやっとたどり着いた玄関口には幸いにも誰もいない
「こんな簡単に…?」
今までずっと出られなかった鳥籠の中を、こんなにもあっさりと出られるものだろうか。
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ゆかり(プロフ) - 途中からずっと泣いてましたwwはてなさんの作品読ませてもらってとても感動しました。ほんとにありがとうございます。 (2021年5月23日 21時) (レス) id: 927c3428d3 (このIDを非表示/違反報告)
はてな(?)(プロフ) - さき。さん» ご観覧、ご感想ありがとうございます。感動して頂けて凄く嬉しいです!私も、さき。様の言葉に泣きました…。本当にありがとうございます。 (2021年4月15日 18時) (レス) id: 2bed4e8e7b (このIDを非表示/違反報告)
さき。(プロフ) - すごく好きです…!悲しく、苦しい恋もありながら、とても綺麗な終わり方で…思わず泣きました…。こんな素晴らしい作品に出会えたことを嬉しく思います!!! (2021年3月9日 23時) (レス) id: bc9aead4c2 (このIDを非表示/違反報告)
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