陰キャな彼氏 (ページ9)

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階段をゆっくり上がっていくと、鍵がかかった屋上の扉の前に机と椅子が無造作にいくつか置かれていた。

そこに1人でパンを片手に座っている男の子。

少し怯えたような顔でこっちを見ている。

みつけた。

やっぱりあの子だ、間違いない。

『あの…ここで一緒にたべてもいい？』

そう言いながら見つけたらお昼ご飯に誘おうと思って用意していた弁当を見せると「どうぞ…」と椅子を差し出してくれた。

なるべく大人っぽく、年上らしく…

余裕のある感じを出したいけど、異性の友達も先輩も後輩も何人もいるはずなのに何故か緊張する。

『ありがと、1年生？』って知ってるけどあえて聞いてみたら、「そうです。」とだけ返ってきた。

そして私が1番気になってたこと、

『名前は？

あ、私は望月Aね！』

光成「檜山光成です。」

『光成くんねー！』

もはや名前までかっこよかった。

でもなんで光成くんはせっかくのかっこいい顔が隠れるような格好をしてるのだろうか。

ライバルが増えるよりはありがたいけど。

もう早く言ってしまったほうがいいのかも。

『光成くん、あのね好きかも、』

いきなり過ぎたかもしれない。

光成くんは「え？」って言いながらキョトンとしている。

『私、入学式の時からずっと見てた。

ずっと気になってて、いっつも昼休みになったら1年の教室探してたんだけど全然見つかんなくて。

でも今日やっと見つけたから追いかけてきちゃった…』

光成「俺、友達もいない陰キャですよ。

それでもいいんですか？」

そんなのどうでも良くて、

『そんなの関係ないよ！』

と伝えると、

光成「じゃあ、よろしくお願いします…？」

『ほんとに！？やった！』

こうしてあっさりと私の人生初めての彼氏が出来た。