陰キャな彼氏 (ページ8)

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入学式から1ヶ月くらいが経った。

春の少し肌寒いけど心地良い空気から段々暖かくなってきて制服のブレザーはもうスクールバッグの中。

入学式からずっと何組なんだろうかとか探してるのに、全然あの子は見かけなかった。

話しかけてきてくれてちょっと仲良くなった子に聞いてみたりもしたけど、やっぱりいない。

もしかして入学早々退学とか…？

色々思考を張り巡らせてもやっぱり分からない。

だから、もうお昼休みに気持ち悪いのを覚悟で1年生の教室まで行った。

．

賑やかな教室。

1組から順番に見てもやっぱりいない…

光輝「あ、A先輩！」

『光輝くん！』

早速知り合いに遭遇してしまった。

彼は黒田光輝くん。

初対面でいきなり「先輩仲良くしましょうよ！」と言ってきたコミュ力おばけ。

最初は正直あまりにもグイグイと来るものだから引き気味だったけど、いい子だし可愛い後輩くんに思えてきて可愛がってる。

それは湧もだし梨花も。

梨花は「彼氏と名前全く一緒！」とびっくりしていた。

光輝「誰かに用事でもあるんですか？

呼んできましょうか？」

『あ〜いや、ちょっと散歩！』

“一目惚れした1年生をさがしてる”なんて言える訳もなく、咄嗟にあまりにも嘘だとバレバレな嘘をついた。

でも、光輝くんはちょっと抜けてるからか、

光輝「いいっすね〜散歩！僕もやろうかな！」

なんて言った。

光輝くんが変に探ってこないし鈍感で助かった。

「光輝〜食べよーぜ」

光輝「おっけ！今行く〜

…じゃあ先輩散歩楽しんで！」

『うん、またね！』

光輝くんは颯爽と友達の中に帰って行った。

1年生の教室の前にいると、みんな違和感を感じるようでチラチラと視線を感じる。

そんな中、1人とぼとぼと階段の方へ向かっていく人影。

メガネとマスクで顔はよく見えないけどまちがいない。

『あの子だ…』

私は急いで階段の方へ向かった。