孤児の俺と金持ちの彼奴。【BL】

お金が9枚 ページ9

やっちまったと思った時には、既に時は遅く。



もしかしたら瑞を怒らせてしまったかもしれない。




その後も何度も謝ろうと肩をトントンと叩いてみたり、授業間の10分休みに話しかけたりしてみたけれど、無視されてしまった。


俺、瑞に嫌われたら生きていけない。誰かに瑞の隣を奪われるのも嫌だ。死んだほうがマシ。






この際だからはっきりさせておくが、俺は瑞の事を恋愛感情として好きだ。


きっかけはまだ、誰にも話した事ない。だって1番に話すのは瑞に向けてと決めているから。まぁ相談する相手がいないってのもあるけれど。




とにかく俺は瑞の笑顔が好きだ。俺に向けてだけに見せる特別な笑顔が。彼奴は気付いていないみたいだけど、俺の時だけ表情が柔らかい。


もちろんまだある。


時折見せるツンデレな部分も好きだし、時々何処か抜けているところも好きだ。

もう全部全部、瑞のことなら大好き。


だからこそ無視されている、今この状況が耐えられない。






ぐしゃぐしゃと頭を掻きながら、目線を落とすと先程 世界史の時間に瑞に渡したあの紙が、筆箱の中からひょっこり出ているのを見つけた。



そういえば数学の時間に机に置いてあるのをとって、筆箱の中にしまったっけ。後で見ようと思って。



綺麗に折りたたんでいる紙をそっと筆箱の中から出し、紙を広げた。



そこに書いてあったのは


“寝ずに授業頑張れ。”

“頑張ったら家でハンバーグ作るよ。”



俺の書いた絵しりとりの変な奴の隣に、可愛いイラスト共に綺麗な字で小さく書いてあった。

こういう所がすごく可愛いと思う。本当に。



しかもいつもなら、夜ご飯は自分の家で食べろって隠れ家から追い返されるのに、今日は招待された。すごく嬉しい。

これは先程の事を許して貰って、行くっきゃない。

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