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昔話。 ページ39

部屋のドアが開く音がして、振り向くとハヅキちゃんが立っていた。
「…夏凜がいないんじゃ、なかった」
その表情はとても無表情に近いのに、この上なく悲しそうで。

「夏凜『は』、いなかったんですね?」

言い回しには少しの違いしかなかったけど、それで十分伝わった。
…この子も『分かった』んだ。
何があって、自分が『どう』していたのかを。


「…いつから、知ってたんですか。色々」
「今日…って言うか、ほんとについさっきだよ。…君達のお母さんに、会ってきたんだ」
ああ、と彼女は頷いた。
散々に言われていたでしょう、と。
ベッドに座って足をぶらぶらとさせながら、遠い日を思い出すように話し続ける。
「あの人は私を嫌ってましたから。可愛げのない子供だったのが原因ですけどね。まあ、問題行動も特になかったので何も言われませんでしたけど…だからこそ本当に、何も喋らなかった」
数十分前に聞いたものと似た響きの、尖った声。
『親子』でいるのは難しいくらい、個性的で似た者同士だったからかな、と勝手に推測してみる。多分…よりによってあの人とこの子だったから、それぞれを『自分の母親』『自分の娘』だと考えられなかったんだろう、なんて。
つい眉をひそめるけど、ハヅキちゃんの話は関係なく続いていた。
「反対にあの子…夏凜は、上手くやってました。誰にでも愛想のいい子だったから。あの子がいたから、何とか『家族』だったんです」
そこまで言うと、ため息を吐く。
「…ごめんなさい、少し整理します」
5分くらい黙ってからようやく話し出したのは、いつか聞いた昔話にとてもよく似た思い出話。

imitation mind・2→←理由。



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ユキ(プロフ) - 最終更新日から4年ちょっと過ぎてしまっていますが、この続きを書いて頂けませんか?どうかよろしくお願いいたします! (2022年2月19日 22時) (レス) id: 710a3a49b7 (このIDを非表示/違反報告)
霜奈(プロフ) - 酒牙亜さん» コメントありがとうございます!こんな…もはや『恋愛』なのか『サスペンス(?)』なのか分からないようなものなのに…本当にありがとうございます!頑張ります! (2017年9月4日 17時) (レス) id: 2732718bb3 (このIDを非表示/違反報告)
酒牙亜 - 更新頑張ってくださーい!待ってますから!(*´ω`*) (2017年9月4日 16時) (レス) id: d72b2da870 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:霜奈 | 作成日時:2017年5月15日 15時

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