手強い。 side・onlooker ページ14
黒パーカーの二人と緊張していたらしく自室に戻るマリーを見送って、残る二人はため息を吐く。
ハヅキ、と名乗った彼女について、とりあえず。
「…信用、されてないな」
「…そうっすね」
視線の先には、なみなみと注がれた紅茶に一枚も減っていないクッキー。
…どちらにも、手をつけなかったのだ。
打ち解けた、とまでは言わないが滑らかに話していたように見えていた分、そこに見られる警戒の度合いは嫌でも目についた。
「結局分かったのも、名字に能力の一部だけか」
「一部?」
「思わなかったか?あいつの能力が言っただけのものだったら、じゃあ俺達があいつに声をかけた時の事は何なんだ?」
あ、とセトが声をあげる。
難しい表情のまま、キドは続けた。
「…感情を共有する、と言っていただろう。それによって人の気持ちが分かると。もしかしたら」
「ご明察。逆もできるってさ」
「…帰ってたのか、カノ」
ただいま、と笑ってソファに座る。楽しそうな声で『報告』が始まった。
「途中で気になって聞いてみたら、案の定。あの子いわく『忘れてた』んだって。本当、嫌になるくらいガードが固いよ。家にも行かせてもらえなかったしさあ」
「そうか…って、それは断られるに決まってるだろう。何しようとしてるんだ」
「いや、妹ちゃんも勧誘しておこうかなあ、と。そしたらすぐに『絶対にダメですやめてください妹を見たら通報しますよ』って追い返された」
「…徹底してるっすね」
「ま、カノを会わせないのは正解だな」
ちょっとそれどういう意味さ、などと言うカノは完璧に無視して、キドは再びため息を吐いた。
「手強いな、今度の新団員は」
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ユキ(プロフ) - 最終更新日から4年ちょっと過ぎてしまっていますが、この続きを書いて頂けませんか?どうかよろしくお願いいたします! (2022年2月19日 22時) (レス) id: 710a3a49b7 (このIDを非表示/違反報告)
霜奈(プロフ) - 酒牙亜さん» コメントありがとうございます!こんな…もはや『恋愛』なのか『サスペンス(?)』なのか分からないようなものなのに…本当にありがとうございます!頑張ります! (2017年9月4日 17時) (レス) id: 2732718bb3 (このIDを非表示/違反報告)
酒牙亜 - 更新頑張ってくださーい!待ってますから!(*´ω`*) (2017年9月4日 16時) (レス) id: d72b2da870 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:霜奈 | 作成日時:2017年5月15日 15時