Question4 ページ6
『終さ……あ』
声をかけようと思ったら、襖が開いていた。終さんは、部屋の中で愛用の二流刀の手入れをしている。改めて声をかけ直すと、手を止めてこちらを向く。
刀を鞘に納めて手入れを中断すると、何やら懐からごそごそと取り出す。スケッチブックとペンだ。終さんは無口だと言ったが、本当に何も喋らないので、こうやって筆談で意思疎通を図るのだ。
「〈A、待っていたZ〉」
『どうも、終さんっ』
昨日はあんなに沖田さんに相談というか愚痴ってしまったけど、彼の顔を見るとそれも吹っ飛んでしまう。
少し照れくさそうにしながらスケッチブックを見せてくる彼に、思わず「可愛い」などと思ってしまった。
部屋に上がらせてもらい、ちょこんと隣に座らせてもらった。
『刀の手入れをしてたんですか?』
「〈刀は大事な武器だから、こまめな手入れをしないと切れ味が鈍くなってしまうんだZ〉」
『へぇ〜……かっこいいですね』
言葉と筆談だから、会話するにも変な間が出来てしまう。けど、そんな会話でも楽しいから良いんです。
でも、やっぱり声が聞きたいし、折角二人きりのお家デート? なんだから、抱き締めてもらったりとか、肩を寄せ合ったりとかしたいものですよ。
でも、どうしたら良いのか……まず、「声を聞きたい」くらいから直接言ってみましょうか?
『あの、終さん』
「?」
『私……終さんの声、聞きたいんです。駄目ですか?』
「っ……」
沈黙。その間、じっと終さんの目を見つめた。
すると、微かに頬を染めながらパッと顔を逸らし、スケッチブックを新しいページに捲ってまた何やら書き始めた。やがて書き終わり、それを私に見せる。
「〈それはちょっと……恥ずかしいZ〉」
『どうしてですか?』
「〈僕なりに色々悩んでて……声が変だったらとか、話がつまらなかったらとか〉」
『終さん……』
そんな事考えてたんだ……恥ずかしいのと、ネガティブが入り混じってる感じなのかな。
私の為なのかは分からないけど、彼は彼なりに悩んでたのか……悩んでたって事は、少なくとも多少は終さんも私に恋人らしい事をしたいって思ってくれてたのかな?
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うp主(プロフ) - 雫さん» コメントありがとうございます。恋愛要素としては随分あっさり気味な気もしますが、終さんの性格上これくらいが丁度よさそうだなと思って書きました。楽しんで頂けて良かったです! (2020年8月20日 13時) (レス) id: f8646b5aca (このIDを非表示/違反報告)
雫 - めちゃんこ面白かったです!終兄さんが可愛すぎて禿げました(( (2020年8月20日 0時) (レス) id: 8419f9d8a6 (このIDを非表示/違反報告)
うp主(プロフ) - ゆるさん» 遅レスすみません。ありがとうございます!今後終兄さんの夢小説がもっと増えたら良いな…と思う今日この頃です。 (2020年8月14日 14時) (レス) id: f8646b5aca (このIDを非表示/違反報告)
ゆる - 終兄さんカッコイイ…!面白かったです! (2020年5月13日 17時) (レス) id: 647e80459a (このIDを非表示/違反報告)
復活のU(うp主)(プロフ) - ロリコンじゃないシスコンだZ!さん» コメントありがとうございます。終さんかっこいいですよね、夢小説もっと増えても良いのになと思う今日この頃ですw 更新速度はムラがありますが、どうか気長に待って頂けると嬉しいです! (2018年6月25日 2時) (レス) id: f8646b5aca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:うp主@
作成日時:2017年10月22日 15時