番外編1-2 ページ21
*
『すみませーん! 近藤さんいらっしゃいますかー?』
翌日。昨晩頑張った甲斐があり、無事に完成したチョコ饅頭を持って真選組の屯所へとやって来た。
美味しく出来て良かった……ただ作って焼く度に味見をしなければならないから、しばらくチョコは遠慮したい。
恋人が真選組の隊士なだけあって、最早顔馴染み。どの隊士さんが来ても、顔パスで通れてしまう。
近藤さんは今自室にいらっしゃるとの事なので、そちらに向かった。
『近藤さーん、桜花堂の桜井Aですー!』
そう障子越しに声を掛けると、向こう側から開かれた。
「おぉAちゃん! どうしたんだいきなり」
『今日バレンタインでしょう? いつもお世話になってるので、皆さんに渡しに来たんです』
右手に持っていた大きい紙袋を見せて、にこりと微笑んだ。すると近藤さんはぱぁっと表情を明るくさせて、部屋の中にいる人物に呼び掛けた。
障子と彼の陰に隠れて見えなかったが、どうやら沖田さんと土方さんもいらっしゃったようで。部屋の中へと招かれ、近藤さんが用意して下さった座布団の上に座った。
『沖田さんに土方さんもいらっしゃったんですね、丁度良かった! 今日の為に作ってきました、どうぞ!』
お三方に、手のひらサイズの包装袋に入ったチョコ饅頭を手渡した。沖田さんと土方さんからは「ありがとう」と言われたが、近藤さんに至っては泣いて喜ぶ始末。
な、何でこんなに反応が違うんだろう……失礼かと思うが、必死過ぎて少し引いてしまったと言うか……そういえば彼には好きな人がいるとの事ですが、貰えてないのだろうか。
『それでは他の隊士さんにも配りに行ってきますね』
「Aちゃん、残りは俺から配っておこうか? 終の所に行ってきなさい」
『良いんですか?』
終さんの名前を聞いて、顔に熱が集中する。
紙袋の中から、また別のピンク色の小さな紙袋を取り出した。彼への本命へのチョコだ。
「終兄さんは自室にいますぜ。中身が溶けちまう前に行ってきなせェ」
「他の隊士共全員に配ってたんじゃ、日が暮れちまうしな」
『お二人共……ありがとうございます』
皆さんの好意に甘えて、私は終さんの部屋へと小走りで向かった。
番外編1-3→←番外編1-1 Happy Valentine!
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うp主(プロフ) - 雫さん» コメントありがとうございます。恋愛要素としては随分あっさり気味な気もしますが、終さんの性格上これくらいが丁度よさそうだなと思って書きました。楽しんで頂けて良かったです! (2020年8月20日 13時) (レス) id: f8646b5aca (このIDを非表示/違反報告)
雫 - めちゃんこ面白かったです!終兄さんが可愛すぎて禿げました(( (2020年8月20日 0時) (レス) id: 8419f9d8a6 (このIDを非表示/違反報告)
うp主(プロフ) - ゆるさん» 遅レスすみません。ありがとうございます!今後終兄さんの夢小説がもっと増えたら良いな…と思う今日この頃です。 (2020年8月14日 14時) (レス) id: f8646b5aca (このIDを非表示/違反報告)
ゆる - 終兄さんカッコイイ…!面白かったです! (2020年5月13日 17時) (レス) id: 647e80459a (このIDを非表示/違反報告)
復活のU(うp主)(プロフ) - ロリコンじゃないシスコンだZ!さん» コメントありがとうございます。終さんかっこいいですよね、夢小説もっと増えても良いのになと思う今日この頃ですw 更新速度はムラがありますが、どうか気長に待って頂けると嬉しいです! (2018年6月25日 2時) (レス) id: f8646b5aca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:うp主@
作成日時:2017年10月22日 15時