Question11 ページ13
*
「はい、着いたわよ」
と、連れてこられた着物屋さん。ガラス張りのショーケースにはマネキンが数体あって、水色、薄紫、薄オレンジなどのパステルカラーの着物が着せられている。
「売れています!」などと書かれていて、これらはこのお店での人気の着物なのだと理解出来た。
両開きで開けっ放しにされている入り口から店内を見ると、数組の女の子達がきゃぴきゃぴしながら品定めをしている光景が目に入る。
『へぇ、こんなお店出来てたんだ。知らなかった……』
「一ヶ月くらい前に出来たばっかりだからね。さ、入りましょ!」
あやめちゃんに手を引かれながら、いざお店の中へ。店員さんの妙に甲高い「いらっしゃいませぇ〜」を聞きながら、店内をキョロキョロ見回した。
とてもファンシーな内装で、商品の雰囲気に合わせてある。試しに着物を数着手に取って見てみた。いずれも控えめで可愛い色と柄で、私の趣味に合っている。
『う〜ん……ねぇあやめちゃん、どれが良いかなぁ』
「そうねぇ……ちょっと貸してみて、鏡の前で当ててあげるから」
『あっ、ありがとう!』
持っていた着物を全て掻っ攫われ、背中を押されながら姿見の前に移動した。うーむ、やっぱり彼女はイケメンだ。
一着ずつ当てていき、鏡の前で顎に手を当てながら悩む。どれも素敵な柄だし……。
「一通りやってみたけど、どう?」
『うーん、ちょっとまだ順位付けは難しくて……あやめちゃんの意見を聞きたいかな』
「そうね、私はこっちの水色のが一番良いと思ったわ。確か水族館でデートするんだったわよね? 場所に合っているし、何よりAは肌が白いから青系も似合うわ」
そう言う彼女に、後ろから頬を人差し指で突かれる。
美人に褒められて、嬉しいようなちょっと複雑な気分になる……隣の芝生は青く見えるってこういう事なのだろうか。
しかし最後の後押しもあって、急にこの着物に愛着が湧いた。涼しげな水色で、裾にかけてさり気なくグラデーションが。柄も抑え目で、これからの季節に向けて金魚の模様が描かれている。
『……決めた、これ買う!』
──今日半日付き合ってくれたあやめちゃんにお礼を言って、ついでに次に会う約束もした。今度は私が彼女の恋バナに付き合うというものだ。
袋を大事に抱き抱えながら、足取り軽く帰った。
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うp主(プロフ) - 雫さん» コメントありがとうございます。恋愛要素としては随分あっさり気味な気もしますが、終さんの性格上これくらいが丁度よさそうだなと思って書きました。楽しんで頂けて良かったです! (2020年8月20日 13時) (レス) id: f8646b5aca (このIDを非表示/違反報告)
雫 - めちゃんこ面白かったです!終兄さんが可愛すぎて禿げました(( (2020年8月20日 0時) (レス) id: 8419f9d8a6 (このIDを非表示/違反報告)
うp主(プロフ) - ゆるさん» 遅レスすみません。ありがとうございます!今後終兄さんの夢小説がもっと増えたら良いな…と思う今日この頃です。 (2020年8月14日 14時) (レス) id: f8646b5aca (このIDを非表示/違反報告)
ゆる - 終兄さんカッコイイ…!面白かったです! (2020年5月13日 17時) (レス) id: 647e80459a (このIDを非表示/違反報告)
復活のU(うp主)(プロフ) - ロリコンじゃないシスコンだZ!さん» コメントありがとうございます。終さんかっこいいですよね、夢小説もっと増えても良いのになと思う今日この頃ですw 更新速度はムラがありますが、どうか気長に待って頂けると嬉しいです! (2018年6月25日 2時) (レス) id: f8646b5aca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:うp主@
作成日時:2017年10月22日 15時