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第311夜 ページ31

ーNosideー



選ばれた眷属を彼岸の剣で殺せば、ある程度の傷を癒やし魔力を回復させるものだった。



一人分であればさほど大した量にはならない。



だが、七人いた眷属器使い達を全員殺せば、受けた傷を全て治し魔力を全快にさせることなど容易だった。





ーAsideー



最悪、なんで。



痛い痛い痛い。



くっそ、ほんと最悪…!!



「なん、で…いき、てんのッ!!」



何とか声を絞り出してそう尋ねる。



シンと紅玉が倒したはずじゃん…!!



「そりゃこっちのセリフだろ。

心臓刺してんだぞ、何で生きてんだ」



眉を顰め、ニヤリと笑いながらそう尋ね返す彼岸。



それは何とか形を留めている核のおかげだったが、今の一撃は核を掠めていた。



長くは持たないだろう。



「…かったと、思った、のに…!!

おまえ、なんか……大キライ…ッ!!!!」



「そりゃお生憎様だなッ!!」



そう言い、彼岸はグリィッと剣を捻った。



「ぐ、うゥッ!!!」



今ので一気に核が割れた。



まずい、意識飛びそ…。



けど、だめ、もうみんな戦えない。



ジンとの戦いで消耗しすぎた…。



魔力も傷も全快のこいつと戦うなんて…無理だ…!!



そう思い、彼岸の剣を掴み返した。



「ただで、死んで…たまるか…!!!」



掠れた声を張り上げてそう言う。



このまま死んでたまるもんか。



剣を通して彼岸の体に一気に魔法を放った。



命令式なんてもうめちゃくちゃだ。



でも残った魔力をありったけ集めてぶつける。



この、力魔法で……、彼岸の魔装を、魔力ごと引っぺがす…!!



「よせA…!!!!」



遠くで十六夜の声が聞こえた。



けど、やめない。



ここで絶対に止める…!!



「てめぇ、な、にを…、やめっ…!?」



体に流れて来た力魔法に、彼岸は戸惑う。



そりゃそうだろう、全身に激痛が走っているはずなのだから。



「やめる、もんかぁッッ…!!!」



そう叫び、さらに魔力を込めた。



どうせ死ぬ、死ぬなら…!!



僕が何とかする。



僕がこいつを止める!!!



「ぐッ!?」



彼岸の苦しげな声が漏れた瞬間、魔装が彼の全身の皮膚ごと、引きちぎれるような音とともに剥がれた。



魔装が解けた剣は元のサイズに戻り、僕の胸元からずるりと抜けた。



その時、一緒に赤い石のかけらのようなものが落ちていくのが見えた。



あぁ…、こんな終わり方なんて…。

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北狐(プロフ) - ユメさん» コメントありがとうございます!そうなんですか!!そうなんですか!!もちろんですよー!!(*´>ω<) (2021年7月2日 12時) (レス) id: 77f9ebe255 (このIDを非表示/違反報告)
ユメ - めっちゃ面白かった!北狐さん!私もマギ好きなんです!もしよければ友達になってくれませんか? (2021年7月2日 9時) (レス) id: c40c3ba588 (このIDを非表示/違反報告)
北狐(プロフ) - なこぞうさん» コメントありがとうございます!えええっ、嬉しいです…!pixiv版では内容少し変わってくると思います…!向こうは更新ゆっくりかと思いますが、そちらもぜひよろしくお願いします! (2021年6月7日 21時) (レス) id: 77f9ebe255 (このIDを非表示/違反報告)
なこぞう(プロフ) - はじめまして!なこぞうと申します!pixivからきました!ものすごく面白くてリメイク版の方ですが一気読みしてしまいました(汗)更新頑張ってください!応援してます! (2021年6月7日 13時) (レス) id: 55f0d7c163 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:北狐 | 作成日時:2021年4月26日 22時

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