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第306夜 ページ26

ーNosideー



アマテラス、スオウのルフと話すツクヨミの姿を、アラジンは固唾を飲んで見守っていた。



ツクヨミは二人の語り掛けに応えるように、ブツブツと何か小さくつぶやいている。



やがて、その目からボロボロと大粒の涙がこぼれ落ちる。



「…二人とも、ごめんなぁ…。

俺が弱かったばっかりに…!」



と呟きながら。



ツクヨミの周囲を取り巻く黒いルフが、白く変わってゆく。



そんな様子を見て、アラジンはホッとし安堵の息を漏らす。



そして、アマテラスとスオウのルフは、ツクヨミに別れを告げ、その場を飛び立つ。



「…ありがとう、二人とも」



その姿を見送りながらアラジンはそう呟き、ツクヨミの元へ歩み寄る。



「大丈夫かい、ツクヨミさん」



そう話しかけると、ツクヨミは小さく頷く。



「…あいつら最後になんてったと思う…。

過去に囚われずに前見て生きろって……それお前らが言うのかよ…」



そういい、歯を食いしばりながら涙をこぼすツクヨミ。



もう大丈夫だろう。



そう感じたアラジンは、ここから出よう、とツクヨミに手を差し出そうとしてふと違和感に気づいた。



ツクヨミを捕える黒い塊が消えないのだ。



「…どうして…」



思わずそう呟いた途端、その黒い塊から勢いよく棘が生え、ツクヨミの体を貫いた。



「ぐッ!!」



ツクヨミの喉から苦しげな声が漏れる。



「ツクヨミさん!!!」



思わずアラジンが駆け寄ろうとすると、今度はアラジンの方目掛けて棘が伸びてくる。



「…こいつは俺のこと逃すつもりねぇみたいだな…」



眉を顰め、苦笑いを浮かべながらそう言うツクヨミ。



「おい、チビ!」



「ぼ、僕はアラジンだよ!」



棘をかわしながらそう応えるアラジン。



「そうか…アラジン。

どうやら俺はここから出られないらしい。

…悪いが、外に出て…、俺を殺してくれないか」



「!」



ツクヨミの言葉に、思わずアラジンは目を見開く。



「…せっかく生きろって言われたのに悔しいが…、俺が選んだ道の結果だ…。

罰は受けるさ」



と言い、儚げに微笑んだ。



「そ、んな…!!」



アラジンがそう声を漏らすも、アラジンを追い出さんと黒い棘がいくつも伸びてくる。



「頼む、アラジン」



困ったような笑顔でそう言うツクヨミ。



「〜ッ、…わかったよツクヨミさん。

必ず助けるから、待っていておくれ!」



そう叫び、アラジンはツクヨミに背を向け飛び去った。

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北狐(プロフ) - ユメさん» コメントありがとうございます!そうなんですか!!そうなんですか!!もちろんですよー!!(*´>ω<) (2021年7月2日 12時) (レス) id: 77f9ebe255 (このIDを非表示/違反報告)
ユメ - めっちゃ面白かった!北狐さん!私もマギ好きなんです!もしよければ友達になってくれませんか? (2021年7月2日 9時) (レス) id: c40c3ba588 (このIDを非表示/違反報告)
北狐(プロフ) - なこぞうさん» コメントありがとうございます!えええっ、嬉しいです…!pixiv版では内容少し変わってくると思います…!向こうは更新ゆっくりかと思いますが、そちらもぜひよろしくお願いします! (2021年6月7日 21時) (レス) id: 77f9ebe255 (このIDを非表示/違反報告)
なこぞう(プロフ) - はじめまして!なこぞうと申します!pixivからきました!ものすごく面白くてリメイク版の方ですが一気読みしてしまいました(汗)更新頑張ってください!応援してます! (2021年6月7日 13時) (レス) id: 55f0d7c163 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:北狐 | 作成日時:2021年4月26日 22時

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