第297夜 ページ17
ーNosideー
同時期、スオウの魔導士、剣士としての才能が一気に開花していた。
皇宮の高官たちのほとんどはスオウを皇太子に支持していた。
そんな時、皇帝はスオウ派とツクヨミ派の分断を避けるためという名目で、2人に真剣での試合を命じた。
その頃の二人の関係は、以前のような親しさは無くなっていた。
表面上だけ、上っ面だけの仲良し兄弟になっていた。
それは当然だった。
スオウにもツクヨミと同様に皇帝から、強くなれと圧力をかけられていたからだった。
兄以上の剣士になれ、姉以上の魔導士になれ、と。
だがスオウが力をつけるのに比例し、ツクヨミも力をつけていった。
大好きな兄だったが、それを憎らしく感じていた。
2人の関係は徐々に拗れていった。
そして、試合の日。
「…わざわざ木刀じゃなくて真剣で戦えなんて…、殺し合えって言ってるようなものだよな」
試合会場の入り口で、ツクヨミはスオウにそう言った。
「仕方ありませんよ、兄上。
どのみち私たちは潰し合う運命にあったのですから」
「…運命ね…。
家族同士の殺し合いが運命なもんかねー」
不満げにそう呟くツクヨミ。
「…私は負けるわけにはいきません。
兄上も、私を殺すつもりでかかってきてくださいね。
容赦は致しません」
そう言い、スオウは先に会場に踏み入れた。
「…俺はお前と姉さんと三人で仲良くやれればそれで十分なんだけどな…」
自分を好いていてくれた弟は一体どこへいったのか。
父は一体弟に何を言ったのか。
わからないまま、ツクヨミも会場に歩み出た。
観戦客…否、高官たちの前で、試合が始まった。
やはり実力はツクヨミの方が
ツクヨミはどこかのタイミングでスオウの刀を折り、試合を終わらせるつもりだった。
そのはずだったのだが。
突如、スオウの一撃が段違いに重みを増した。
何が起こったのかすぐに分かった。
魔法だった。
力魔法を使って素早く動き、刀に纏わせ威力を上げた。
誰も止めに入らないあたり、反則ではないようだ。
確かに皇帝は真剣での試合、としか明言していなかった。
戦況は一転、ツクヨミは防戦一方に追い詰められるが、決定打にはならなかった。
ツクヨミは咄嗟に、魔力を覆った刀で応戦しスオウを弾き飛ばした。
すると。
「何故だ?
何故勝てない…?」
スオウがボソリと漏らした。
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北狐(プロフ) - ユメさん» コメントありがとうございます!そうなんですか!!そうなんですか!!もちろんですよー!!(*´>ω<) (2021年7月2日 12時) (レス) id: 77f9ebe255 (このIDを非表示/違反報告)
ユメ - めっちゃ面白かった!北狐さん!私もマギ好きなんです!もしよければ友達になってくれませんか? (2021年7月2日 9時) (レス) id: c40c3ba588 (このIDを非表示/違反報告)
北狐(プロフ) - なこぞうさん» コメントありがとうございます!えええっ、嬉しいです…!pixiv版では内容少し変わってくると思います…!向こうは更新ゆっくりかと思いますが、そちらもぜひよろしくお願いします! (2021年6月7日 21時) (レス) id: 77f9ebe255 (このIDを非表示/違反報告)
なこぞう(プロフ) - はじめまして!なこぞうと申します!pixivからきました!ものすごく面白くてリメイク版の方ですが一気読みしてしまいました(汗)更新頑張ってください!応援してます! (2021年6月7日 13時) (レス) id: 55f0d7c163 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:北狐 | 作成日時:2021年4月26日 22時