第30夜 ページ31
ーシンドバッドsideー
「シン、以前言っていた風雅帝国の資料ができましたが、目を通されますか?」
執務室で仕事を片付けていた時、ジャーファルがそう言い、資料を差し出した。
「…あぁ」
差し出した資料を受け取る。
「煌帝国の影にナリを潜めていたようですが、最近は煌帝国と領土を取り合うかのように国土を広げていますね…。
まさか、煌とぶつかるつもりなのでしょうか…」
「その可能性もあると思って目をつけていたが…しかし、なんだこの六戦将というのは…。
八人将の真似事か?」
思わず笑ってしまう。
「それは同感ですね。
…しかしなぜ突然風雅のことをお調べに?」
「…どうも、Aの出身国が風雅のようでな」
なるほど、と頷くジャーファル。
「…本人から聞いたわけでは無いが、おそらく間違い無いだろう…。
そして、この国には何かある」
Aの怯えよう…。
きっと何かあるはず。
「…先程の六戦将のことですが…。
人数は少ないものの、おそらく我々八人将以上の力を持っているようです…。
金属器使いが3人いるようですが、なかでも魔導士の祇夕という人間は、たった一人で国の首都を一つ消し去るほどの魔法を使うのだとか…」
と顔をしかめながらつぶやく。
「それに、奇妙なのが神官の男です。
どんなに調べても、先代も、先々代の皇帝の際も同じ名の男が使えているようで…」
その神官のことが記されている書類に目をやった。
ロロ・グリフ・シュトリング、か…。
そう思うと、ふと胸騒ぎがした。
「…ジャーファルすまない、この資料は後で目を通す」
そう言って立ち上がる。
「シン、どこへ…」
驚いたジャーファルの声を振り解き、執務室の扉を勢いよく開ける。
何故。
…何故こんなに胸騒ぎがする…!?
A…!!
ーAsideー
「…ロロ…どうしてここに…」
窓枠に腰掛ける青年、ロロ・グリフ・シュトリングにそう尋ねる。
「どうしてって…急にお前の気配が感じられなくなったから心配してきたんだ。
お前のことだから死ぬことはまぁ無いだろうが、行方を晦まされては困る。
きてみたらどうだ…この国、随分高度な結界が貼ってあるじゃ無いか。
なぁ、…祇夕?」
風雅帝国にいた時の名前を呼ぶ彼。
一見穏やかに聞こえるが、一切隙を見せない。
灯の消えた部屋で赤々と光る目がそれを教えている。
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北狐(プロフ) - コンポテさん» コメントありがとうございます!マギの小説は今少ないですもんね!わかります!笑 応援ありがとうございます、頑張りたいと思います!笑 (2020年9月13日 18時) (レス) id: 77f9ebe255 (このIDを非表示/違反報告)
コンポテ - マギの小説久しぶりに見つけましたぁ、マギにはだいぶ前から好きで、新しい小説見つけられるととても嬉しいです。これからも頑張ってください。 (2020年9月13日 14時) (レス) id: 4458290e03 (このIDを非表示/違反報告)
北狐(プロフ) - ありがとうございます!さん» コメントありがとうございます!まさかコメントいただけると思っていなかったので嬉しいです!なるべく毎日更新できるように頑張りたいので、よろしくお願いします! (2020年8月18日 11時) (レス) id: 77f9ebe255 (このIDを非表示/違反報告)
ありがとうございます! - マギの小説2020年にハマり初めて、そろころには皆書かなく成ってたのでこの小説は最高過ぎです!!文可笑しかったらスミマセン、私中一なのです。多目に見てください。 更新待ってます! (2020年8月18日 6時) (レス) id: 11099bdacf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:北狐 | 作成日時:2020年7月29日 17時