【場地圭介】狼さんは孤独がお好き (ページ29)

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場地side

『.........あったかい』

口元を緩めたように見えた。

目を細めて、口角を少し上げて。

それを見た瞬間、自身の内側から何かがぶわっと込み上げてくるのを感じた。

これが“好き”って感情か？

いや、これは“好き”を通り越した.....“愛しい”っていう気持ち、だな。

守りてぇと、笑っていて欲しいと、思った。

｢なぁ｣
『ん？』
｢もう、関わるなとか、言わねぇ？｣

Aはキョトンとして、今度はちゃんと、声を出して笑った。

『関わるなって言ったら、関わらないでくれるの？』
｢.....自信ねぇ、けど。努力はする｣
『助けてもらったから、もう言うのはやめる』

そう言ったAは、帰ろう？と先程まで擦り寄っていたオレの手を引く。

オレはその手を優しく掴んで、引っ張った。

小さい身体が、オレの腕の中にすっぽりおさまる。

今ここで言わなかったら、男じゃねぇ。

『圭介君？』
｢.....好きだ｣

上目遣いで此方を見上げてくるAの目をしっかりと見つめ、言葉を吐く。

｢Aが好きだ｣

名前を呼んで再び気持ちを伝えれば、Aはオレの胸板に顔を埋める。

耳が真っ赤だから、多分だけど照れてる。

そんな彼女に一層愛しさが募って、抱き締める力を強めてしまった。