【場地圭介】狼さんは孤独がお好き (ページ16)

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｢あは、冷てぇの。なぁ、竜胆？｣
｢いつものことだろ｣

竜胆もいるのかよ.....

『あんた等の巣は六本木でしょ？ここは浅草』
｢知ってるし。オレ等はウルフちゃんを探してたの〜｣

ピタリと足を止める。

隣で、アキが2人を睨んでいた。

『用があるなら早くしてくれる？』
｢別になんもねぇよ。ただ、オレ等に何も言わずに解散するのはちょっと薄情じゃねぇの？と思ってさぁ。なぁ、銀狼(ぎんろう)｣
『あんた等にそこまで報告する義理はない。それから、その名前は捨てた。二度と呼ぶな』

語気を強めてそう言い放ち、歩みを進めようとする。

｢.....解散した理由はやっぱあの子？澪チャン？だっけ？｣

思わず足を止め、蘭を睨んでしまう。

こいつ、私のことを相当調べたらしい。

｢お、図星みたい。でもしょうがなくね？ウルフちゃんの3つ下だから.....あの時小5？そんな女の子が喧嘩なんかできるわけな＿＿＿｣

ヒュッと風を切る音がして、アキが蘭の顔の前で拳を止めた。

｢テメェが澪ちゃんを語るな｣
『アキ』

彼女の腕を下げる。

｢でも.....！｣
『良いよ。本当のことだから』

気にしたら負け。カッとなったら負け。

相手にするだけ無駄だし、それこそ蘭の思うつぼ。

『銀狼はもういない。魔天狼(まてんろう)は解散した。浅草も仕切りたいなら、そうすれば良い。どうぞご自由に。ただし.....二度と私達の前に姿を見せるな。不快なんだよ』

いまだ隣で憤慨しているアキの手を引いて、私は目的地へと向かった。