3.トトが言うには ページ3
「お早うございます、アリババさま」
Aを仲間に加えてからは、朝はこうして始まる。
以前はトトが荒々しく起こしてくれたものだが、
Aは対称的に、静かに声をかけてくれる。
聞けば、幼い頃からどれいとして扱われてきたようだが、
荒んだところなどなく、実に献身的に世話をやいてくれる。
……まあ、俺としてはもう少しフランクになってほしいんだけど。
その旨を以前伝えたのだが、
逆に、
「小間使いとして仕えさせてほしい」
と頼まれてしまった。
本人の望みだから、優先させたいとは思うのだが……。
ホントに俺でいいのだろかと思ってしまう。
「アリババさま、どうなさいました？」
寝間着のまま眉間にシワをよせる俺を不審に思ったのか、
Aが声をかけてきた。
「あ、いやなんでもねー……」
Aは、「そうですか？」とだけ言って俺の顔を覗きこみ、
異常なしと判断したらしく微笑んで、
「アリババさま、お召し替えを」
と言い服を差し出してくれる。
それを受け取ると、Aはぺこりと一礼して退室した。
それにモゾモゾ着替えていると、
Aとはちがうリズムで戸がノックされた。
「アリババ、トトだ。入るぞ」
「なんだ、トトか。ああ」
青い布を身体に巻き付け、留め具をはめる。
入ってきたトトをみやると、何故だか笑みを浮かべている。
珍しい。
「どうしたんだよトト、ニヤニヤして」
椅子を勧めると、どかっと腰掛ける。
「アリババ、トト、嬉しいぞ」
どうしたんだろう。
シャンバルさんに小遣いでも貰ったんだろうか。
「お前、女いるんだな」
「……は？」
「トト見た。隠さなくてもいい」
俺に彼女がいる？
トトは何を言ってるんだ？
「見たって………何を見たんだよ」
寝台に腰掛け、前屈みになって睨む俺に、
トトがさらににやつく。
「A。さっき、お前の部屋出るとき顔赤かった」
え、A？
「それ、本当か？」
トトがキョトンとして頷く。
「なんだ？ まだそうじゃなかったのか？」
俺が頷いて見せると、
トトは考えこむような素振りを見せた。
そしてぱっと顔をあげ、
「まあ、気にするな！」
と笑って部屋を出ていった。
「朝っぱらからなんなんだよ……」
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキーアイテム
革ベルト
ラッキーカラー
あずきいろ
おみくじ
おみくじ結果は「末凶」でした！
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 11人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
真方郎(プロフ) - コメありがとうございます！がんばります！ (2017年3月11日 21時) (
レス) id: 85f4bf0878 (このIDを非表示/違反報告)
星花 Ruru(プロフ) - はじめまして！こんばんは！この小説とても面白いです！！これからどうなっていくのか楽しみです(*´∀｀*)更新頑張ってください！応援してます。 (2017年3月11日 21時) (レス) id: 68eb365810 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：真方郎 | 作成日時：2017年3月11日 13時
