『PHYCHO-PASS』偽神を生んだ研究録 (ページ28)

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P26　6月18日ページ28

P25 8月21日うとう採決が下されたようだ。
　結果はシビュラシステムの採用。
　ただしいくつかの条件つきで。

　第一に試験的に一部の地域限定でシビュラシステムを稼動させ、問題なく動作をするかを確認し、その上で一般人がそのシステムを受け入れるかどうかを判断してから。

　次に、シビュラシステムを稼動させるだけの価値があるかどうかを判断。
　シビュラシステムはその構造上大量の電力を使用する。
　そうなれば当然普通では考えられないくらいの莫大な資金も動く。
　価値のないものにお金をつぎ込んでも意味がないのでそれを見るとのこと。

　最後にシビュラの本体はこれから建築する厚生省が管轄するビルの地下に設置することになった。
　当然と言えば当然だがシビュラは人間の脳を使用している。
　それを一般人が見て受け入れるわけがない。
　シビュラは人目に絶対につかない所に設置し、表向きには当初の案であった大量のスーパーコンピューターを並列運転にすることで犯罪係数を測定する、というものになった。
　

　……長かった。
　本当に長かった。

　何度失敗したことか。
　何度諦めかけたことか。

　私の偉業が世界に賞賛されることはないけれど、多くの人が私を認めてくれるわけではないけれど、それでも私はこのシステムを完成させることができてとても嬉しく思う。

　まだまだシステムも不安定な所もある。
　泡野を含め100人近くの脳だけでは流石に日本全域の人間の犯罪係数を測定することはできない。

　初めの数年、いや、もしかしたら10数年近くは誤処理による犯罪係数の異常測定が発生するかもしれない。

　完成したと言っても不安要素がないわけではないが、しかしそれもこれから先、犯罪係数0の人間を地道に集めればいいだけのこと。

　
　家族を捨て、恋人を捨て、友を失い、それでも私は研究に没頭した。
　それも全て、犯罪なき理想の世界を実現させる為。

　伴仁の無念を晴らした今、私のシビュラシステムへの研究はより一層忙しくなることだろう。
　このノートを書くのも今日が最後だ。

　私の下らない話につきあってくれてありがとう。
　そして願わくば。

　
　これを誰かが読んでいる時にはシビュラシステムがより完璧なものになっていることを祈っている。
　

　

　