『PHYCHO-PASS』偽神を生んだ研究録 (ページ27)

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P25　8月21日ページ27

厚生省に研究の報告をしてから一週間。
　未だにシビュラシステムを採用するかどうかの採決が下されない。

　理由はやはり[システムの構造が非人道的]だから。
　しかしそれに釣り合うだけの技術、革新性を有し、尚かつ犯罪者を未然に逮捕することができるという点においては他に引けをとらない完璧なシステムであるが故に簡単に切り捨てることができないらしい。

　
　当たり前だ。
　そう簡単に切り捨てられてたまるか。
　どれだけ私が苦悩したと思っている。

　お前ら能無しの人間が毎日を適当に生きている中、人知れず頑張っている者がいる。悲しんでいる者がいる。恐怖を感じている者がいる。

　そんな人間の為にシビュラシステムはこの日本には絶対に必要なのだ！

　……勿論この一週間、何も進展が無かったわけではない。

　
　まず研究の完全停止は取り消された。
　どんなに最悪の事態に陥ったとしても、また新しいシビュラシステムを開発するだけの機関、人員、予算は厚生省の方で用意してくれることになった。

　まぁ……
　人間の脳を使わないシビュラシステムの開発なんて不可能に近いのだからあまり意味はないのだが。

　仮にスーパーコンピューターで代替して再び開発しようと思うのなら。
　今のシビュラシステムと同じパフォーマンスを発揮するのに少なくとも東京都と同じ面積ぐらいの台数のスーパーコンピューターが必要になる。

　……そう考えるとたかだか数千台でシビュラシステムを開発しようとしていた私は馬鹿みたいだな。

　……っと、いかんな。
　やや思考がマイナスになってきている。
　別にまだシビュラシステムが否定されたわけではない。

　まだまだ可能性はある。
　希望を持とう。
　

　どれだけ長い時間がかかるかは分からないが……な。