ストラトキャスターの浜辺(探鉱者) ページ3
深夜3時に目が覚めた。それだけだったらいいのに私は海を見たかったのか湖景村の浜辺へと足を運んでいた。服はなるべくラフな格好、大きなポケットにはショートブレッドを2つと小さい竹製の水筒を詰め込んだ。
深夜の浜辺はやけに静かでまるで別世界のように少しだけじとりとしていた。どうせ1人で朝まで過ごすのかなと思ったらどうやら先客がいたみたいだった。筋肉質で長身、そして所々に見えるケロイドの痕は間違いなく彼だろう。
「…あ、なんだAか。お腹すいたんだけどなんかある?」
「出会って一言目がそれです?」
どうやら彼も深夜に目が覚めてここにいたらしい。私はポケットからショートブレッド1つと水筒の茶を半分彼に分けた。ショートブレッドの乾燥っぷりに噎せながらも彼は二口三口で食べてしまった。
「ぱさぱさする…こんな最後の晩餐は嫌だな」
「人に物を頼んでおいてそれはないでしょうに…あ、もうお茶がない」
彼から投げるように返された水筒は半分どころか残っているのはほんの数滴だった。彼は悪びれる様子もなく明日なんかあげるから、と返してきた。
「で、君が起きた理由って荘園に来る前にいた大好きな人の事?」
「まんまと友人に盗られちゃいましたけどね〜…忘れられないというかなんと言うか」
「じゃあ僕にしなよ、君みたいな子だったら長く付き合えそう」
「嫌です、絶対嫌です」
一瞬心が揺らいだが私は彼みたいな自分主義の男があまり得意じゃない。断ると彼は残念そうに笑ったがこころは見透かせまいという感じだ。
そんなやり取りの中、湖景村の海は波が少しだけ強くなっていた。
ハイスペック母性には抗えない(画家、納棺師)→←初めは気まぐれだった(マジシャン)
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薄荷ゼリー(プロフ) - 通りすがりさん» コメントありがとうございます、更新率は低下してますが今後もご愛読頂ければ思いますm(*_ _)m (2021年12月28日 12時) (レス) id: a93fc2bc72 (このIDを非表示/違反報告)
通りすがり - ドキドキする話やクスッとくる話、色々あって読んでてとても楽しいです!(≧∇≦)応援してます⸝⋆* (2021年11月20日 15時) (レス) @page11 id: 2f87ec2489 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:薄荷ゼリー | 作成日時:2021年6月14日 20時