検索窓
今日:7 hit、昨日:10 hit、合計:16,541 hit

ストラトキャスターの浜辺(探鉱者) ページ3

深夜3時に目が覚めた。それだけだったらいいのに私は海を見たかったのか湖景村の浜辺へと足を運んでいた。服はなるべくラフな格好、大きなポケットにはショートブレッドを2つと小さい竹製の水筒を詰め込んだ。

深夜の浜辺はやけに静かでまるで別世界のように少しだけじとりとしていた。どうせ1人で朝まで過ごすのかなと思ったらどうやら先客がいたみたいだった。筋肉質で長身、そして所々に見えるケロイドの痕は間違いなく彼だろう。

「…あ、なんだAか。お腹すいたんだけどなんかある?」

「出会って一言目がそれです?」

どうやら彼も深夜に目が覚めてここにいたらしい。私はポケットからショートブレッド1つと水筒の茶を半分彼に分けた。ショートブレッドの乾燥っぷりに噎せながらも彼は二口三口で食べてしまった。

「ぱさぱさする…こんな最後の晩餐は嫌だな」

「人に物を頼んでおいてそれはないでしょうに…あ、もうお茶がない」

彼から投げるように返された水筒は半分どころか残っているのはほんの数滴だった。彼は悪びれる様子もなく明日なんかあげるから、と返してきた。

「で、君が起きた理由って荘園に来る前にいた大好きな人の事?」

「まんまと友人に盗られちゃいましたけどね〜…忘れられないというかなんと言うか」

「じゃあ僕にしなよ、君みたいな子だったら長く付き合えそう」

「嫌です、絶対嫌です」

一瞬心が揺らいだが私は彼みたいな自分主義の男があまり得意じゃない。断ると彼は残念そうに笑ったがこころは見透かせまいという感じだ。
そんなやり取りの中、湖景村の海は波が少しだけ強くなっていた。

ハイスペック母性には抗えない(画家、納棺師)→←初めは気まぐれだった(マジシャン)



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (44 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
210人がお気に入り
設定タグ:第五人格 , 短編集
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

薄荷ゼリー(プロフ) - 通りすがりさん» コメントありがとうございます、更新率は低下してますが今後もご愛読頂ければ思いますm(*_ _)m (2021年12月28日 12時) (レス) id: a93fc2bc72 (このIDを非表示/違反報告)
通りすがり - ドキドキする話やクスッとくる話、色々あって読んでてとても楽しいです!(≧∇≦)応援してます⸝⋆* (2021年11月20日 15時) (レス) @page11 id: 2f87ec2489 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:薄荷ゼリー | 作成日時:2021年6月14日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。