[ボカロ]四季刻歌〜そばにいたい〜

ia〜出逢い〜 ページ2

少女「〜♪〜♪♪」

私は、今日も桜の木のしたで歌っていた。

だって、他にすることなんかないもの…

私は、歌うのをやめて考え事をはじめた。

…私は、桜の木の精霊。

だから、人間に私の姿は見えないの。

友達もいないし…移ろいでいく季節の

中を、私は一人で生きてきた。

少女「…〜♪」

私は、また歌いはじめた。

唯一、歌うことが大好きだった。

しばらく歌っていると、足音が聞こえてきた。

あ、来た…

少年「ふぅ…」

少年は、私の隣に座って本を読み始めた。

私は、そっと彼に寄り添った。

少女「…♪」

彼は、一ヶ月くらい前から毎日ここに

来て本を読んでいる。

私はギリギリ字は読めるけど、彼が読

んでいる本に書いてあることは難しく

てよくわからない。

少女「ん〜…」

私は、真剣に本を読んでいる彼の横顔

を見つめた。

その顔はどこか優しい雰囲気を漂わせ

ていて、見ているとすごく安心する。

…私は、そんな彼に恋をしていた。

でも、人間に私の姿は見えないし、見

えたとしても寿命の短い人間達はすぐ

しんでしまう。

だから、せめて彼のそばにいたいから

私はこうして彼との短い時間を大切に

している。

暖かい風が吹いて、ひらひらと桜の花

びらが舞い降りてきた。

？「…綺麗だね」

その少年は、上を見上げていた顔を私

の方に向けた

？「君も、そう思わない？」

少女「…え？」

私は、辺りを見回した

誰に話しかけてるんだろう…？

周りに人なんかいないし…

？「君のことだよ」

彼は、私の頬をつんっとつついた。

この人…まさか…！

少女「…私が、見えるの？」

？「うん、見えるよ。僕には、君が見えてるよ。」

少女「…！なんで？人間に私は見えないのに…」

？「なんでだろうね…」

クスクスと笑いながらそう言う彼が不思議で仕方ない私

？「…僕は龍馬。君は？」

少女「…名前なんか、ない。精霊だもの…」

龍馬「…じゃあ、僕が名前をつけてもいい？」

少女「えっ？いいけど…」

私がそう返事をすると、龍馬は「うーん…」と考え始めた。

なんか、おもしろい人…

龍馬「…あ、iaってどう？？」

少女「え、ia…？」

花子や梅子などの名前が出ると思って

いたから、龍馬の意外な発想に少しび

っくりした。

龍馬「嫌…？」

少女「いいよ、それで。」

龍馬「よし、君は今日からiaだ！」

まさか、こんな夢のような日がくるとは…

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