五話 ...病... ページ7
「こんな感じですか？」
「そうそう、慣れてきたね。 じゃあそっちは君に任せようかな」
「わ、わかりました」
ふふ、と笑ってまた別の作業をする彼。
今、私は無理を言って畑を手伝いに来ている。
最初はダメだ無理だと言っていた彼だが、私の頑固さに折れて渋々許してくれた。
私だって助けになりたい。
家事だけやってくれればいい、なんて言うけれどそれでは私が納得できないのだ。
「あと少し...。」
夏の日差しがじりじりと肌を焼き、体力を奪っていく。
帰ったら特製の冷たいお茶を作ろう。
こういう時は冷たい物に限る。
最後の苗を植えて、顔をあげる。
ふぅ、と息をつき、終わったことを知らせるため彼に声をかける。
「終わりましたよ！」
そう言いながら彼を振り返った瞬間。
「あぁ、おつかれ...」
そう言いながらふらりと立ち上がり、此方に来ようと足を踏み出す。
「じゃあ次はっ...がはっ...」
そのまま口を押えて倒れこむ彼。
一瞬、何が起きているかわからなかった。
指の間から零れる真っ赤な血。
重力に従い崩れ落ちる彼の体。
「...え？」
ドサッと。
倒れたまま。
彼は起き上がらない。
「...うぅ...」
小さくうめく声が聞こえた。
その声にはっと我に返る。
「っ貴方！！」
とにかく家に。
家に帰ろう。
ぐったりと力なく倒れる彼を何とか担ぎ、家路をたどる。
「ごめ...ん...大丈...夫だか」
「何言ってるんですか！ 大丈夫じゃないです！」
「っでも...」
「いいから帰りましょう、話はあとです」
「...ごめん」
彼はそう苦しそうに告げると、黙り込んだ。
謝るのは、私の方なのに。
気付いてあげられなかった。
あんなに、倒れてしまうほど、無理をしていたのに。
...あんなに近くにいたのに。
そういえば、最近彼は元気がなかった。
何処か笑顔がぎこちないと感じていたのに。
気のせいにして、気付かないふりをして。
どうして聞かなかったのか。
自分に嫌気がさす。
その時。
「...鈴...」
彼が、なかなか呼ばない私の名前を呟く。
驚いた私は思わず足を止めた。
「...何ですか？」
「...ありがとっごほっ...」
「っ無理して話しちゃだめです！」
自己嫌悪なんてしてる場合じゃない。
うん、と力なくうなずく彼を、もう一度力を入れて担ぎ直し、歩き出す。
彼はただ、申し訳なさそうに、私を見つめていた。
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近所迷惑さき - とってもいい歌ですよね〜。今でもまだ聴いてます。聞いた時、あれ？これボカロなのか！？とビックリしたので、自己解釈を見て、意味を知りました。 (2022年3月27日 7時) (
レス) id: 51e47c3894 (このIDを非表示/違反報告)
Mirror Sound - 素敵な､物語です！私は､元々｢四季折の羽｣が大好きだったんですけど､この自己解釈を読んでからもっと好きになりました！できれば､違う歌の解釈も沢山書いてほしいです｡ (2016年1月13日 15時) (レス) id: 863d51c1e2 (このIDを非表示/違反報告)
Yukine.(プロフ) - ×××さん» こちらこそ、素敵な作品をありがとうございました。私も貴方の作品が大好きでした。そんな素敵な作品に私のイラストを添えていただけて本当に嬉しかったです。本当にありがとうございました。 (2015年7月14日 22時) (レス) id: dd995b6485 (このIDを非表示/違反報告)
×××(プロフ) - こちらに失礼します。度々イラストを描いてくださり、ありがとうございました。あなたの絵が大好きでした。本当に、本当にありがとうございました。 (2015年7月14日 21時) (レス) id: 9c0f93981b (このIDを非表示/違反報告)
Yukine.(プロフ) - Misakiさん» コメントありがとうございます...!!好きといっていただけてとてもうれしいです。 (2015年2月25日 20時) (レス) id: dd995b6485 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Yukine. | 作成日時：2014年1月26日 17時
