【VOCALOID】四季折の羽【自己解釈】

四話　...夏... ページ6

暖かい日は徐々に暑い日に変わり、今日も果てしない青空が広がる。

覚悟はしていたがやはり暑い。


私は縁側に座り、ぼぅっと空を眺めた。
彼は畑を耕しに行っていて、少しだけ寂しさを覚える。

毎日の事だし、慣れないといけないなぁ。
最近、彼は畑仕事を再開した。

はぁ、と息をつき、立ち上がる。

きっと暑さにやられて疲れて帰って来るだろう彼に冷たい物でも持て成さなければ。
気が早いけど、夕飯考えてしまおう。
それに掃除も洗濯もしないと。
寂しさに浸っている場合なんかじゃない。

よしっと意気込み、家事をこなす。

それでも、たったの二人暮らし。
没頭してしまえばすぐに片付いてしまう。

あぁ、もう。
寂しさを紛らわせるものがなくなって、仕方なく雲が流れていくのをぼんやりと眺める。


...早く帰ってこないかなぁ。

そう思いながら、ごろん、と縁側に寝ころび目を閉じる。
このまま、彼が帰ってくるまで寝てしまっても良いかもしれない。
でも、やっぱり出迎えないと。

そう思い、目を開けると。


「あ、起きた」

「...え？」


目の前に彼の顔が。

「...いつ、帰ってきたんですか」

「今さっきね」

「...お帰りなさい」

「ん、ただいま」


そう言って微笑み、私の髪を撫でる。
彼は、最近こういう風に髪を撫でるのが好きなようで。
こうなるとなかなかやめてくれない。
私もまんざらではない事が、こまりものだ。

「...ご飯、用意しますね」

「んー、まだいいよ」

寧ろもう少し。


私の髪を撫でる手を休めることなく、微笑みかけてくる彼。

...全く、私の気も知らないで。

「疲れているでしょう？ ほら、晩御飯」

「えぇ、...仕方ないなぁ」

渋々ながら、彼は私から離れ、むぅ、と頬を膨らませた。
私はそれに少し笑いながら、台所に向かう。否、向かおうとした。


「...！」

ぐいっと手を引かれ、引き止められる。

「後で...」

後でまた撫でてもいいですから。
最後までいう事もかなわず、彼に口付けされる。

「ん、満足」

「...っもう」

馬鹿。

負け惜しみのように彼に言ってから、今度こそ台所に向かう。
火照った顔を叩き、できるだけ冷静に料理をする。



それでも幸せだった。
ずっと続くと思い込んでいた。






それはもう、幸せを蝕み始めていたのに。

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