8. 向き合う ページ8
3-1でイナズマジャパンは勝利した。
マネージャー達と抱き合って喜ぶ。
そして春奈と一緒に兄ちゃんと鬼道と佐久間クンが居る方へ走っていき思い切り飛びつく。
わいわいと騒いでいると、視界の端でエドガーが控室の方へ1人歩いていくのが見えた。
私がそれを気にしているのに気付いた春奈が
「今行かなかったら後悔しますよ」
と耳元で囁く。
その言葉にはっとした私はエドガーの後を急いで追った。
・
・
―ナイツオブクイーンの控室―
控室に入る。
エドガーは長椅子に1人で項垂れ座っていた。
扉を閉めると此方を確認しようともせず「誰だ」と問いかける。
いつものような甘い声ではなく、低く冷たい声だった。
「私。」とだけ答えエドガーの隣に座る。
エドガーは少しだけ顔を上げ、私の方をちらりと見る。
「あれだけの事を言っておきながら私は…良いところを何一つ見せられず無様な敗北を喫した。
……本当に情けないよ。」
そう言って自嘲的に笑うと深いため息をつき再び項垂れた。
「……カッコよかったよ。心の中で少し応援しちゃったくらいには。
まぁ……勝利が決まった時はさすがに嬉しくてはしゃいじまったけど…。」
私の言葉にエドガーは驚き顔を上げる。
「それは――…嬉しいような、複雑だね。」
そして眉を下げて困ったように笑った。
「――前、佐久間クンを私の騎士か…って聞いただろ?」
私の言葉を聞くと、少し目を見開く。
そして少し悲しそうに笑みを浮かべた。
まるでこの先私が何を言おうとしているのか分かっているかのように。
「……彼は、Aさんの騎士になれたんだね。」
静かに、だが少し悔しそうにそう呟く。
「いや、違う。
……でも、そうであればいいな…って最近思うようになったんだ、」
気持ちを吐露するのはいつでも恥ずかしいものだ。
少し目を逸らして静かに話す。
「あぁ……キミに想われる彼が心底羨ましいよ。
……キミと彼の未来に幸多からんことを願っているよ。」
エドガーの顔を見ると、少し悔しそうだがどこか晴れやかな表情になっていた。
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番外編にてエドガー視点を更新いたしました。
宜しければ見てくださるとうれしいです。
http://uranai.nosv.org/u.php/novel/siia06153/
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作者名:リリィ | 作成日時:2022年9月11日 11時