41. 騎士 3 ページ48
兄ちゃんにパーティー会場の隅へと連れてこられる。
私は段差になっている所に座り、兄ちゃんは私の前にしゃがんだ。
「…ったく、テキトーなこと言っとけばよかっただろ。
それこそ佐久間クンが来た時に全部アイツに擦り付ければ逃げられたじゃねーか。」
眉を下げ呆れたように首を傾げる。
佐久間に擦り付ければいい…今思えばそれが自分にとって一番楽だったと思う。
『私の騎士だ』とでも言って佐久間クンの後ろにでも隠れて隙を見て逃げればよかったんだ。
でも何故か――、
何故か何も言えなかった、言葉が詰まって声が出せなかった。
肯定したくなかったし、否定もしたくなかった。
俯いて何も言わない私を見て兄ちゃんは溜息をつく。
「……はぁ?マジでお前佐久間クンに気がある感じィ?」
茶化すような兄ちゃんの問いかけに私は黙って首を横に振る。
これは絶対に恋ではない。
だって恋ってドキドキとか…木野先輩とか冬花先輩とかそういうやつだろ?
違う、そんなんじゃない。そんなんじゃーー、
でも、強いて言うなら――
「……兄ちゃん以外のヤツだったら一番、信用できる奴…かも。」
「…ま、べっつに興味ねーけどぉ?」
私の言葉が言い終わらないうちに兄ちゃんはそう言って立ち上がる。
そして「飯取りに行ってくる、待ってろ」とだけ言い残してさっさと歩いて行ってしまった。
………あぁこれは…機嫌が悪い時のやつだ。
佐久間クンが気に食わないのだろうか、いやそんなことは、
いや、まぁ……佐久間クンは源田と違ってそこまで従順ではなかったから、今でも気に食わないと思っている可能性もあるが。
まぁ考えても仕方がない、兄ちゃんは機嫌が悪くても少なくとも私に当たり散らしたりはしないから。
そんなことを考えているうちに、兄ちゃんが2人分の料理を取って戻ってきた。
それからはキャプテンが遅れてきたりなんやかんやで対決したり……。
多少のハプニングがありつつも、割と楽しくパーティは終わった。
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リリィ(プロフ) - Kariaさん» コメントありがとうございます、本当に嬉しくて何度も何度も読み返してはニヤニヤしてしまいました。とても励みになります! (2022年3月29日 1時) (レス) id: 5fb9ab7224 (このIDを非表示/違反報告)
Karia(プロフ) - この作品は、今までに見たイナイレの夢小説の中でもトップに入るぐらい好きです。素敵な作品を生み出してくれてありがとうございます! (2022年3月26日 22時) (レス) @page5 id: 03658bccca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リリィ | 作成日時:2022年3月22日 16時