それぞれの目的(四頁) ページ46
「鵺野先生あそこです！」
玉藻先生の妖気を辿り町の中へ来ると、建物や道路が怨念を秘めた秀一くんの亀によって破壊された後だった。逃げまとう人々がいなくなる中、その先に人間の姿に戻った玉藻先生と秀一くんの姿を見付け鵺野先生と共に先を急いだ。
今まさに玉藻先生が巨大化した秀一くんの亀に秀一くんを犠牲に捧げようとしていた。鵺野先生はそれを遮ると、玉藻先生と何度も交戦し私は秀一くんの側へ。
「先生…っ」
不安を滲ませる秀一くんに大丈夫だと言い聞かせたものの、ものすごい数の怨念を秘めたこの秀一くんの亀のことも気掛かりだった。するとその矢先、亀は尻尾を振りかざし鵺野先生と玉藻先生の方へと…。
「鵺野先生…！！」
いち早くそれに気付いた玉藻先生が鵺野先生との交戦を止め避けた。鵺野先生はそのまま亀の攻撃を食らってしまい建物の壁に叩き付けられてしまった。
「さあ、そこを退くのです。A先生」
「！、玉藻先生…っ」
自身の目的の為に鵺野先生から離れ私達に歩み寄ってきた玉藻先生。私は怯える心を押し退け秀一くんを自分の背後に隠れさせると玉藻先生と応戦する姿勢をみせた。
それはまるで、玉藻先生と初めて会った時のように…。
「秀一くんは渡しません…っ」
「この私と戦うと？あれだけ私のことを避けていた先生が、生徒の為なら立ち向かうと…」
「いくら貴方が相手でも…私は教師として、人として見過ごすことは出来ません」
「いいでしょう。交渉決裂です。貴女はもう用済みだ、A先生」
「！」
目の前にいたハズの玉藻先生の姿が一瞬で消えた。それは直ぐ様私の背後から感じ取り振り返ると同時に首筋に衝撃が走る。
「A先生…！！」
「秀一くんは頂く。童守町の人々を救うために死んでもらうのだ」
「く…っ、貴方は…間違って…る…っ。私の…せいで…」
神経を突かれたらしい。倒れた体はびくともせず意識が朦朧としていた。玉藻先生はそんな私を見下ろしていくと直ぐに秀一くんを連れ去って妖獣の元へ…。
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作者名：紫亜 | 作成日時：2019年10月12日 22時
