守りたいものの為に(二頁) ページ21
「…前にもお断りしたハズです。それに、自分の身は自分で守りますし力の矛先が鵺野先生に向けられると分かっている以上、私は貴方とはライバルです」
「ライバル…」
着替えを済ませカーテンから現れた私を玉藻先生は凝視していた。玉藻先生が目的を変えないと言うのなら、私もとことん意思を変えるつもりはない。そう思いながら玉藻先生を見据えた。
「強情ですね。でも、私も力を得る為なら意地でも貴女を味方につけてみせる」
「…！」
「貴女の弱味は生徒と鵺野先生だ。妖力もこの１ヶ月で十分に戻った。私がその気になればいつでも攻撃を仕掛けられるんですよ。貴女ならそれがその身をもって分かっているハズだ」
「(やっぱり…。こう言えばああいうなんて、玉藻先生なら安易に想像が出来た…)」
私の弱点を突いて脅しにかかった玉藻先生。最早信頼関係を築くことより私を支配下にして意地でも従わせるつもりだ。
『…俺もアイツなら、いいライバルになるんじゃないかって思ってますよ』
「(鵺野先生……)」
貴方は一度生徒達を救った玉藻先生を信じてそう言った。だから、私は……。
「…分かりました。ですが、私を味方につけたいのなら条件があります」
「それは…？」
玉藻先生の眉がピクリと動いた。やはり、私から条件を出されるとは思ってなかったようだ。
そして、私は真っ直ぐ玉藻先生を見据えながら言葉を紡いだ。
「私に…霊や妖怪を退治する術(すべ)を教えてください」
鵺野先生。私も、貴方と同じ霊能力を持つ者としてやるべきことにもう背けない。たとえそれが…私達のライバルに頼み込むことになろうと、私は私の守りたいものの為に。
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作者名：紫亜 | 作成日時：2019年10月12日 22時
