ライバル(二頁) ページ14
「(あれは…克也くん？)」
そして放課後、帰路に着こうとした私の視界に非常階段に腰掛けた克也くんの後ろ姿が映った。克也くんは鵺野先生のクラスの子で、私は段々とその背後に近付いてくとその手に何かのタマゴのようなものを持っているのを見かけた。
「克也くんそれ…何かのタマゴ？」
「うわぁ…！A先生！？」
克也くんは私の声に驚くと、その拍子で手に持っていたタマゴを地面に落としてしまった。
「ご、ごめんね…！そんなに驚くとは思わなくて…っ」
ヒビが入ってしまったタマゴを見て慌てて拾おうとした、その時だった。タマゴから突然強く光出し、伸ばした手を咄嗟に引っ込め大きく目を瞑った。
「(タマゴから光に…霧…！？それに、この霊気…もしかして…っ)」
そして今度はタマゴから霧が発生し、その場にゾッとするような霊気を感じ取った。側にいたハズの克也くんはパニックで慌ててどこかへ消えてしまい、私も感じ取る霊気を慌てて辿っていく。
「(さっきのタマゴ、妖怪のタマゴだったっていうの…？どうしてそんなものを克也くんが…。それに、妖怪は一体どこへ…っ)」
霊気の霧に包まれ辺りが見渡せない中克也くんの姿と共に探していると、鳴き声が響き渡り咄嗟にそちらへと振り返った。すると、見上げた先に巨大な海魚の妖怪が私達を見下ろしていたのだ。
「(なんて大きさなの…。それにこの莫大な霊気…、鵺野先生を捜さなくちゃ…っ)」
「助けてー！！」
「！！」
すると、海魚の真下を逃げるように霧の中から鵺野先生のクラスの栗田まことくんと山口晶くんがこちらに走ってくるのが見えた。急いでそちらに向かおうとしたが、二人は海魚から何かを放たれそれは背中に命中し…。
「二人とも大丈夫…！？(これは一体…っ)」
その場に倒れ顔を歪める二人に駆け寄ると、その背中には小さなタマゴが幾つもの植え付けられていた。中から僅かに霊気を感じ取りゾッとする。もし産まれてしまえばこの子達はどうなるの…っ。
嫌な想像を振り切り、兎に角今は二人を校舎内に移動をさせるのが先決だった。沢山の生徒達の悲鳴が校庭から聞こえてくる中、私はただがむしゃらに霧の中を掻き分け二人を校舎内へと移動させたのだった…。
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作者名：紫亜 | 作成日時：2019年10月12日 22時
