ライバル ページ13
「リ…リツコ先生…？」
１限目を終え、次の授業の準備に職員室へ戻ってくると何故か露出の高い水着を着たリツコ先生の姿があった。側には鵺野先生と玉藻先生の姿も…。
すると、状況が掴めない私に気付いた玉藻先生がこちらに向かってくるのと同時にそれまで水着姿だったリツコ先生の姿が同じ教師の石川先生へと変貌した。
鼻の下を伸ばし、それまでリツコ先生だったはずの腰を揉んでいた鵺野先生もそれに漸く気が付いて事態は把握。そう、玉藻先生の幻術の仕業だ。
「まったく、鵺野先生は騙されやすいですね。A先生。…A先生？」
私の肩が込み上げてくる怒りでプルプルと震え出す。学校のど真ん中で平然と幻術を使い、しかも鵺野先生がリツコ先生とお色気に弱いのを知っていてこの妖怪は…っ。
「このスケベ妖怪！！」
玉藻先生の頬に私の平手打ちが炸裂した。玉藻先生は来る痛みに顔を歪めそれから手で頬を抑えると、怪訝な顔をして私を見つめた。
「一体何をそんなに怒って…」
「もう知りません！」
理由も分からせないまま玉藻先生を突き放した私は自分のデスクへと戻っていった。人の弱味につけこんで、やっぱり悪い妖怪だわ。
「玉藻先生をフるのってA先生ぐらいだよな」
「ほんとほんと」
「やだ…二人とも職員室に来てたの…」
向かい側の鵺野先生のデスクに鵺野先生を訪ねて来たらしいキョウコちゃんとひろしくんが先ほどの玉藻先生とのやり取りをどうやら見ていたらしい。
変なところを見られてしまったと思い、私の顔には熱が集中した。それもこれも全部玉藻先生のせいだわ…。
そんな玉藻先生は教育実習が終わるまであと３日を迎えようとしていた。いなくなったら少し寂しいなどと思っていた自分を私は本日限りで振り払う。
相手は妖怪、さっきの幻術だって鵺野先生を狙ってやったことなのだ。私も目的を忘れちゃいけない。それに、その妖怪が学校からいなくなるなら好都合じゃないか。
私は校長先生達に職員室での過ごし方でお叱りを受ける鵺野先生へ視線を向けながらそんなことを思ったのだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 8人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：紫亜 | 作成日時：2019年10月12日 22時
