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とにもかくにも壮絶な1日だったと思う。
彼らの入団式があったものの、歓迎会までの余裕は残されてない。
部屋は書類整理とやらの山に埋もれていた。
本当なら訓練後に彼らと話したかったんだけど。
A
「足を挫いたら足手まといかぁ〜、こんなの唱えさえすれば簡単に治ってるから参加出来るのにぃ。」
誰も私の独り言なんて拾ってくれるはずもなく。
本当は治ってる、だからって参加出来ると周りに言えば疑問に思われる。
皆を信じてないわけじゃない。
ただこの変な能力に期待されたくない。
…いや、期待されるのが怖いだけ。
ようやく走らせるペンを止めて背伸び。
残る資料はエルヴィンの押しつけだから残りは明日…。
ひと段落着いた、これからは至福の時間。
この匂いと温かさが大好きで…未だに両親の影響が染み付いてる。
たちまち私の部屋には紅茶の香りが立ち込め…
「……それは紅茶か?」
急な来客の声にびっくりして振り向く。
A
「…ひゃっ!!びっっっっっくりしたぁ…。もしかして驚かせるの趣味だったりする?」
リヴァイ
「そんなん趣味じゃねえ。質問に答えろ、それ紅茶か?」
A
「あ、そうだけど、もしかして匂いにつられて…?」
無言の肯定。
その香りに誘われて私の部屋に入ってきたリヴァイは猫みたいだ。
微笑みながら、彼にカップを差し出す。
お近づきの印に奮発してクッキーを出そう。
私の手から受け取ったカップを独特な持ち方で持ち上げ、
リヴァイは静かに口をつける。
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作者名:しゃむねこ | 作成日時:2023年11月18日 19時