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肆拾行目 ページ4

国木田さんと潤一郎くんも驚いた顔で乱歩先生を見つめている

乱歩先生は1口アイスクリームを舐めると、手をひらりと動かした

乱「彼が拐われたのは人虎とか懸賞とか つまり個人的な問題からでしょ? ウチは彼専用の養護施設じゃないし カレも匿ってもらうためにウチに入った訳じゃない」

冷たい

背筋が凍ったような感覚を覚えた

谷「でも 敦君は探偵社の一員で」
国「……乱歩さんの云う通りだ」

潤一郎くんの言葉を遮って、国木田さんが低い声でそういった

国「俺達が動くのは筋が違う」

『……どうしてですか』

4人の視線が僕に向いたのがわかった

俯いていた僕が顔を上げた

目頭が熱い

……僕が憧れた乱歩先生は、こんな人だと思っていなかったのに

『…仲間と言うだけじゃ、助けたい理由になりませんか…!?』

乱「藤村、何度も言うようだけど彼は個人的な問題から拐われたんだ これが社に関わる問題ならまだ話は違ったかもしれないけどね」

乱歩先生は僕を見つめた

真剣な顔で頭に乗っている帽子を被り直す

乱「藤村、君は2人乗せられるほど頑丈な船じゃないよ 藤村のは、1人乗せるのも危ういんだから」

僕には人助けができない

暗にそう言われているような気がした

乱歩先生は俯いた僕の頭をポンポンと優しく叩いた

分かってる 分かってはいたんだ

僕の船は脆いのだと

けれど……それでも……救いたいと思ってしまったから

僕は袖で目を擦った




ナ「殿方の大好きな”筋”とか”べき”とかを100年議論して決めても良いのですけど……代わりに”この方”は如何?」

ナオミちゃんの声に顔を上げると、先程まではいなかった諭吉先生が立っていた

ビックリしすぎて涙も引っ込んでしまった

乱歩先生は僕の頭に置いた手をびくぅっ!と反応させていた

国 谷「社長!?」

驚き、硬直していた国木田さんははっと我に返ると、姿勢をただして頭を下げた

国「申し訳ありません 業務が終了次第谷崎、藤村と情報を集めて__
福「必要ない」

低い声で諭吉先生はそう言うと、僕達の間を抜けていく

その間際、ポンと一瞬だけ僕の肩に手を置くと、忙しなく動き回る社員たちの前に立った

福「全員聞け!」

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名無し83958号(プロフ) - すっごく面白いです!更新を今か今かと待ち望んでます。頑張って下さい! (2020年4月28日 19時) (レス) id: 4a83a3e4ca (このIDを非表示/違反報告)
雨宮碧音(プロフ) - 虚さん» コメントありがとうございます!近々再び更新を再開する予定なので気長に待っていただければ幸いです! (2019年9月19日 18時) (レス) id: e732f79f93 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - え、なんこれドチャクソ好きです。更新頑張ってください! (2019年9月19日 17時) (レス) id: 7c0e52b0b9 (このIDを非表示/違反報告)
雨宮碧音(プロフ) - クロッキーさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけてとても嬉しいです…!頑張ります! (2019年5月27日 15時) (レス) id: e732f79f93 (このIDを非表示/違反報告)
クロッキー(プロフ) - めちゃくちゃ好きです………!更新頑張って下さい! (2019年5月27日 12時) (レス) id: 3248997e70 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雨宮碧音
作成日時:2018年9月21日 1時

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