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参拾玖行目 ページ3

彼女___泉鏡花の取調べを終え、敦くんに彼女を任せた僕達は、探偵社での業務に戻っていた

パソコンの前に腰掛け、次の事件の資料を作る

そんな仕事の合間も、僕の頭の中は彼女のことでいっぱいだった

彼女はこれから軍警へと引き渡されるだろう

けれど…

『………』

チカチカと光る文字の羅列が僕を睨んでいるような気がして、僕は画面から目を逸らした

文字は睨まない 気の所為だ

文字を見なければ仕事は進まない

僕はいつの間にか置いてあった湯気のたつお茶を飲み、再び文字を打とうとキーボードに手をかけた

バタンッ!!

『……!』

音を立てて勢いよく開かれた扉に、僕はようやく画面に向き直った目を入口へ向けた

膝に手を置き、荒い息をした潤一郎くんが険しい顔で立っていた

谷「敦くんが、拐われました!!」

敦くんが…拐われた……?

国「敦が拐われただと?」

谷「は……はい」

国「く…選りによって今か」

驚いた顔をしていた国木田さんは眉間に皺を寄せ、後ろをちらりと盗み見た

視線を辿ると、非戦闘員の社員が資料を片手に走り回り、受話器を手にしながら資料を見たりと、忙しく手足を働かせていた

国「先刻入った省庁幕僚の護衛依頼のせいで 社は上を下への大騒ぎだ 捜索に割ける人手がない」

『…敦くんは誰に……?』

谷「誰かは分からないけれど…目撃者によると白昼の路上で襲われて貨物自動車(トラック)に押し込まれたって」

潤一郎くんはメモをパラパラ捲りながら言った

誰が拐ったのかも、どこに連れて行かれたかもわからない……行き先がわからない以上、追うのも難しいし、何より人手がない…

状況は最悪だった

国「連中は独自の密輸ルートを無数に持っている 人一人誰の目にも触れず運ぶ位造作もない」

谷「なんとか助けないと このままでは…」

敦くんがどうなるか分からない……っ

袴の裾を掴んで僕は俯いた

その時、心配そうに近づいてきたナオミちゃんの後ろからケロッとした声が飛んできた

乱「助ける?なんで?」

『…っ』

なんで…?それは敦くんが社員だから…仲間だからじゃないのか…?

助ける理由は、それだけじゃ足りない…乱歩先生はそういうのだろうか

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名無し83958号(プロフ) - すっごく面白いです!更新を今か今かと待ち望んでます。頑張って下さい! (2020年4月28日 19時) (レス) id: 4a83a3e4ca (このIDを非表示/違反報告)
雨宮碧音(プロフ) - 虚さん» コメントありがとうございます!近々再び更新を再開する予定なので気長に待っていただければ幸いです! (2019年9月19日 18時) (レス) id: e732f79f93 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - え、なんこれドチャクソ好きです。更新頑張ってください! (2019年9月19日 17時) (レス) id: 7c0e52b0b9 (このIDを非表示/違反報告)
雨宮碧音(プロフ) - クロッキーさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけてとても嬉しいです…!頑張ります! (2019年5月27日 15時) (レス) id: e732f79f93 (このIDを非表示/違反報告)
クロッキー(プロフ) - めちゃくちゃ好きです………!更新頑張って下さい! (2019年5月27日 12時) (レス) id: 3248997e70 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雨宮碧音
作成日時:2018年9月21日 1時

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