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貴方side
そしてとうとうやってきた約束の日
らっだぁはちょうどグレーお姉様のお見合い関連の仕事で駆り出されている
今夜中は少なくともそれで忙しいはずだ
ベランダでぼーっと下の街を眺めていると後ろからトン、と肩を叩かれる
びっくりして振り返るといつものパーカーを着たゾムさんが月明かりを浴びてそこに立っていた
『全然気配がないからびっくりした……』
zm「ごめんなwらっだぁの方は大丈夫そうなん?」
『うん、今日は忙しいみたい』
zm「ちょうどええわ。じゃ行こか」
『いいけど、どうやってここから出るの?』
ゾムさんはその身軽さと運動神経故、ここへの出入りが自由にできるが私はそうはいかない
扉から出ようにもそこには衛兵が勿論いて見つかれば一溜りもない
zm「大丈夫や。ちょっと触るで」
返事をする間もなく、彼は私のことを横抱きで軽々と持ち上げたかと思うとそのままベランダの手すりの上へと上がる
1歩間違えれば落下して死んでしまう高さに思わず喉の奥から声にならない悲鳴がしてくる
『あ、あのゾムさ、ん……』
zm「…なぁ、俺の事信じてくれる?」
『え、』
顔を見上げるとすぐ近くには柔らかい眼差しの彼が私のことを見据えていた
あまりの近さに言葉を詰まらせつつもこくんと首を振る
『もちろん、信じるよ』
そう答えると彼はニヤッと笑って突然ベランダから飛び降りる
ぎゅっと目を瞑るが体に伝わってくるのは僅かな振動だけだった
zm「軽すぎんか?ちゃんと飯食えてるん?」
余裕そうな表情で笑いながらそんなことを言って、倉庫の屋根や木々の隙間を上手い具合に使ってどんどん城の塀へと近づいていく
zm「しっかり掴まっててな」
彼は私を抱えたまま、高い塀も縄を使うだけで軽々と乗り越えてしまった
あっという間に目の前には数回だけ見たことがある街の風景が広がっていた
zm「な?大丈夫やったやろ?」
自慢げにそう言った彼の月光を浴びた笑顔に私はただただ釘付けになってしまった
zm「街の郊外の方まで行こか。この辺やと人も多いから危ないやろ」
私は頷いて持ってきたスカーフを顔を隠すように巻く
これなら大丈夫だろう
zm「ん」
『…?』
zm「手、繋いどかんとはぐれてまうで」
彼はそう言って私の手をぎゅっと握る
呼応するように私の顔も熱を帯びていくのを感じた
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そると(プロフ) - ねぎとろさん» ねぎとろさん、コメントありがとうございます!楽しんで頂けて嬉しい限りです…!更新頑張りますので最後までぜひお付き合いください! (2021年12月12日 22時) (レス) id: 018c79fc19 (このIDを非表示/違反報告)
ねぎとろ(プロフ) - めちゃめちゃ好きです!小説の書き方もすごく読みやすくて… 次の更新楽しみにしています! (2021年12月12日 22時) (レス) id: 7227117f9d (このIDを非表示/違反報告)
そると(プロフ) - ルアさんさん» ルアさんコメントありがとうございます!ずっとずっと更新滞らせてしまっててすみません…今日中に更新しますのでお待ちください、!! (2021年12月12日 12時) (レス) id: 018c79fc19 (このIDを非表示/違反報告)
ルアさん - なぁんだ!僕の性癖を難いさせた神作品かぁ…! (2021年12月10日 22時) (レス) @page17 id: b5934403b4 (このIDを非表示/違反報告)
そると(プロフ) - すみれいんさん» すみれいんさん、コメントありがとうございます!他のも読んで頂けてるなんて…嬉しすぎます…!更新頑張っていくのでぜひ最後まで読んでいってください!! (2021年9月15日 18時) (レス) id: 018c79fc19 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:そると | 作成日時:2021年9月13日 0時