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第18話 ページ22

どうするか……。
 シルフを見られた以上、言い逃れは出来ないだろう。かと言って、本当のことを話すわけにもいかない。

「どうするの? 雪」

 どうするも何も……もうこれしかない!

「先生、今日は月が綺麗ですね」
「何を言いたいのかさっぱりだが……まあ、そうだな」
「こんな綺麗な月夜に勿体無いのですが、もう夜中で
 す。良い子の私はオネムの時間なんですよ」
「俺も眠いさ」
「でしょう? 夜更かしって体に悪いんです。次の日目眩
 とかする人もいますしね。教師って凄く体力必要で
 しょ?明日の為にも早く帰って寝た方がいいですって!
 私ももう帰りますし。
 ……じゃそゆことで」

 何事もなかったかのように片手を上げてスタスタと先生の真横を通りすぎることに成功。
 心のなかでそっとガッツポーズ。よしっ、上手く切り抜けた。
 ……と思ったのも束の間。

「じゃ、じゃねーよ。騙されるわけねーだろ!」

 男の手に肩を捕まれて壁に押し付けられた。

「バカ」
「雪様……流石に無理があります……」
「ウリエルの言う通りですわ……」

 召喚した精霊たちはみんな同じリアクションをとってくれた。つまりは、みんな呆れている。

「ちっ……! やっぱ無理か」
「あ"?お前、何先生に向かって舌打ちなんかしてん
 の?」
「それを言うなら先生だって。何生徒を壁に押し付けてる
 んですか?」

 両者ともに一歩も退かず、にらみ合いが始まる。
 言い逃れは出来ない。はぐらかすのも無理だった。じゃあ、もう手がないじゃないか。いっそのこと、シルフの風でこの男をどっかに飛ばしてもらおうかな……。いや、そんなことするよりはこっちの方が手っ取り早い。
 私は夕方図書室にて蹴った先生の左足を、より強い力を込めて蹴った。

「ばっ……か……!そ、こは……!!」
「いい大人がこんな幼稚な手にそう何度も引っ掛からない
 でください」

 うずくまる教師を一瞥し、階段を降りた。

「いいのですか? 放っておいて」

 シルフがあの男がいる方向をチラチラと窺いながら私についてくる。

「大丈夫じゃない? 別に骨が折れるほど強く蹴ったわけ
 じゃないし」

 まあ、しばらくは痛みのあまり動けないでしょうけど。

 犯人は逃がしてしまったが……今日現れたということはまたいつか現れるはず。その時は……全力で潰す。

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朱里(プロフ) - ナンシー・ハジェンズさん» アドバイスありがとうございます! 参考にさせていただきます!! (2013年8月26日 21時) (レス) id: 13f8c978a2 (このIDを非表示/違反報告)
ナンシー・ハジェンズ(プロフ) - 自由に描いてもらったら別に良いんだけど、まぁこんな意見もあるんだと思って見てくれたらと思います。ちょっと御拝読させてもらったんだけど、文章の構成に違和感があったかな。順序を入れ替えるだけでも大分違うし。推敲をもう少しやってみては? (2013年8月26日 19時) (レス) id: 61cd583815 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:朱里 | 作成日時:2013年8月24日 12時

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