【黒バス】恋をして【宮地清志】

【five】 ページ6

キーンコーンカーンコーン、と聞きなれた予鈴がなる。

水「じゃあ私は事務所に戻るわ。」

じゃあね、と水崎さんが手を振る。
私は礼をして、教室に行こうと歩き始めた。

宮「A！」

だけど、宮地先輩に呼び止められた。

「…なんですか？先輩」

宮「なんでお前、あんなに傷だらけなんだよ…？」

「探らないでくださいと言ったすぐ後なんですが。」

軽くツッコミを入れてみる。
でも、いいかな。
この人なら、なんだか言っても大丈夫だって、そんな気がする。


『ヤメトケヨ』

『ドウセマタウラギラレルヨ』


頭をぶんぶん振って、一瞬出てきた言葉をなかったことにする。
でもやっぱり、怖くて私は聞いた。

「この事を聞いて、先輩は私といつもと同じ風に、接してくれますか？」

宮「は？当たり前だろーが。」

…やっぱり、大丈夫だよ、先輩なら。
私は一息ついて、話し始めた。

「私は家柄の良い、氷宮のお家に生まれました。
　小学生の時、母が亡くなり、父は新しい母を持ち、京都に引っ越しました。
　そして、中学生の頃、両親から私に対する暴.力が始まりました。
　中学二年生の時に、一度家を飛び出した事があったんです。すぐ、捕まっちゃったんですが。
　そして中学三年生の夏、私は家に一人、閉じ込められました。近所の方がおかしいと思い、
　助けてくれました。
　その時には、もう一人暮らしをする準備、お金、すべて整わせておきました。
　それで中学三年生の冬に、京都から東京まで、電車などを乗り継いで、来たんです。」

蘇る、よみがえる。あの時の痛み、辛さ、それに苦しさ…。

イタイ、いたいよ、やめて、ヤメテ…！

宮「大丈夫だっつーの、安心しろ。」

ぽふ、と宮地先輩が抱きしめてくれた。どうやら、ずっと震えていたらしい。
すごく、安心した。一人じゃない、大丈夫。

「ありがとう…ございます

　私は一度、友人のお家に行き、すべて話しました。
　友人は、よく耐えたな、と言ってくれました。
　私は、氷宮のお家が嫌で仕方がなかったので、今はこうして、坂崎として、生活してます。」

宮「じゃあ、この新しい傷はなんなんだ？」

「簡潔にいうと虐.めです。証拠はもう沢山あるので、お昼の放送でばらしますけど。」

宮「そうか、」

くしゃくしゃ、と宮地先輩は私の髪を荒く撫で、こう言った。

宮「俺はいつでも、お前の味方だからな。」

そういえば、彼にも言われた言葉だな。

ふいに、ケータイが震える。

差出人は、彼だった。

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