【黒バス】恋をして【宮地清志】

【Three】【Senior side】 ページ4

俺が保健室から出ようとした、その時。

聞こえてきたAの寝言に、俺は耳を疑った。

「たす、けて…。」

え？
なんだか俺は、Aから離れちゃいけない気がして、保健室にとどまった。

宮「綺麗な顔立ちしてんなー、」

気付けば漏れていた言葉に、自分自身でも驚きながらAの手に、自分の手を絡めた。

宮「………ぇ。」

自分でも、自分だって気付けない位の間抜けな声だった。
なんでそんな声が出たかって？


よくみたらAの腕や足には白い肌に似合わない、傷痕や痣がたくさんあったからだよ。


なんでこんなにいっぱい傷痕があるんだよ…。
ケンカは…。するわけねぇし。
虐.め、か……？いや、虐.待もあるか。

一度、氷水のタオルを取り換える。

宮「なぁ、A。」

聞こえてる、訳がない。
だけど俺はAに話し続けた。

宮「苦しいこと、あったら言えよ？

　 俺はいつだって、Aの味方だから。」

言い終わったや否や、保健室のドアが開いた。

？「探したっすよー、宮地先輩！」

宮「あ？高尾じゃねぇか。」

宮「俺、今日の朝練休むわ。」

コイツの看病しなきゃいけねぇし。って、Aを指さして言う。

高「え。Aセンパイどうしたんすか？」


なんだか俺は、本当のことを話したら駄目な気がして、とっさに

宮「貧血で危なっかしいから保健室まで連れてきたんだよ、轢くぞ。」

なんて、嘘を吐いた。


宮「お前は早く練習戻れよ、」

高「えー、嫌です！最近俺だけ練習多いんすもん」

それはお前が皆に期待されてんだよ。
あえて俺は、この言葉を飲み込んだ。自分で気付け、刻むぞ。

宮「あー、喜べ、高尾。大坪に言って、その多い練習を2倍にしてやるよ」

高「ぎょわっっ！？」

宮「だからさっさと体育館行けよ、パイナップル投げんぞ！」

高「は〜い…。」


高尾が居なくなって、数分後。


Aが目を覚ました。


「……。なんで私、こんなところに？」

宮「俺が運んだんだよ。いーから寝とけ、じゃねぇと轢く。」

Aは少し戸惑った表情を見せたが、すぐベッドに横になった。

「…。宮地先輩。」

Aはあまり、人に話しかけなかったから、珍しいな、と思いながら返事をした。

宮「…。んだよ。」

「今日のこと、口外無用でお願いします。
　それと、あんまり、Aのことは探らないでください…。」

仲がもっと良かったら、こんなことはすぐに、打ち明けてくれるのか。

そんな馬鹿な事を、ずっと考えていた。

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