お墓参りしてたら知らない場所にいたのだが…… (ページ29)

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ヨコハマギャングスタアパラダヰス─4 ページ29

依頼人は綺麗な金髪の女性だった

太宰さんが早速声をかける
もはや、流石としか言いようがない
女性の話を聞こうとすると、太宰さんに制裁を加え終えた国木田さんに腕を捕まれた

国木田｢太宰を見張っておけ、また川にはいられたりしたら困る｣

『あ……はーい……』

───困った…今、一番関わりたくない人なんだけどな…
絶対、さっきの｢うずまき｣でのこと聞いてくるよ？勘弁してくれよ。頭疲れてんのに…

仕方なく、太宰さんの元へ向かう

太宰｢おや、Aちゃん。わたしが心配で見に来てくれたのかい？｣

『いーえ。国木田さんに見張っておけって云われたんで』

太宰｢そっか～、あ、そうそう。Aちゃんが云ってた湧別山って………本当に存在するの？｣

『ｯ…………どういう意味です？』

今一番関わりたくない人に今一番されたくない話をされてしまった
思わず視線をそらし床を見る

太宰｢いやね、聞いたことがないのだよ。湧別山なんていう山｣

太宰さんの視線が痛い、が、なんとか答えようとして顔をあげる

『ｯ！！………くそ……兄貴……』

その時の太宰さんの、私を見る目があまりにも似ていたのだ

私の大嫌いな奴に

腹のそこが見えない冷たい目
あのときの記憶が脳内を駆け巡る
手は自然とコートにしまってある短刀へと延びる

太宰｢Aちゃん？どうしたんだい？……短刀での刺殺は遠慮したいな。云っただろう？私は痛いのも苦しいのも嫌なんだと｣

その声で現実へと引き戻される

『ｯ！！……あ、すいません。今のことは忘れてください』

敦達のところへ戻ろうとした
が、呼び止められる

太宰｢君はさっき｢くそ兄貴｣といったね。しかし、君は捨て子だったとも云った。どういう意味だい？｣

───あぁ、もう、なんでこの人は……こんなときに聞いてくるんだ……空気ってもんが読めないのか

振り向いてくそ兄貴に鍛えられた笑顔を向けながら云う

『いつか、話しますから』

Noside

｢くそ兄貴｣

そう太宰に向かって云った彼女からは、恐怖や怒り等が感じられた
とても、16歳の少女が放てるとは思えない膨大な殺気に太宰も驚いていた
ましてや、無意識に短刀を抜きかけるのだから殺意も含まれているのは確実である

太宰｢彼女が無意識にあそこまで殺気立つ存在……｣

彼女の戸籍は存在していない
彼女の情報はすべてが謎に包まれている
漸く、その内の一つが解明できそうだと太宰は思った