お墓参りしてたら知らない場所にいたのだが……

人生万事塞翁が虎─10 ページ12

敦｢はー食った！！もう茶漬けは１０年は見たくない！｣


敦の大きく膨らんだお腹を見て改めてすごいなと思う。
人の体ってあそこまで伸びるものなのか


国木田｢お前……｣


太宰｢Aちゃんは本当になにも口にしなかったね｣


『云ったでしょう？人前では外さないと』


もうこの呪いでひとを傷つけるのはごめんだ
そう思い、無意識のうちに拳を握りしめる


太宰｢……｣


敦｢いや、ほんっとーに助かりました！孤児院を追い出され横浜に来てから食べるものも寝るところもなく…あわや斃死かと｣

　
太宰｢ふうん、君、施設の出かい？｣


敦｢出たというか…追い出されたのです。経営不振だとか事業縮小だとかで｣


太宰｢それは薄情な施設があったものだね｣


───施設か…私はそこら辺はよくわからないがたった1人の少年を出したところで経営不振等の問題が解決できるのか…？



他になにか理由があるのか……？



太宰｢……ちゃん、Aちゃん｣



『…………あ、はい』



太宰｢君はどこから来たんだい？｣


───ヤバイ、そこら辺、なにも考えてなかった。正直に話したところでヤバイやつ認定されちゃうし…否、仮面つけてるところからすでにヤバイやつ認定されてる……？


この状況、どうしたものか……

『とある山で暮らしてたんですけどね、そこでの生活に飽きたんでこっちに降りてきたんです』


太宰｢ふうん、山ねぇ…、じゃあ何故ヨコマハに？｣


『それは、まぁ、行き当たりばったりってことで…』


太宰｢へぇ…｣


───なにこの人、怖ｯ……大丈夫、嘘はついてない。ただ、伝えてない情報があるってだけだ


なんとも言えない空気のなか国木田さんが口を開いた


国木田｢おい太宰、俺たちは恵まれぬ子供に慈悲を垂れる篤志家じゃない。仕事に戻るぞ｣



───ナイス、国木田さん！！



心のなかで拍手喝采

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