さいかい ページ6
都市についたら、まずは服を着替えさせられた。
渡された服は、吸血鬼が用意した家畜専用の服で、男子はズボン、女子はスカートの、白を基調としたものだ。
着替える時も男女で分けられたりはしない。子供ばかりだから問題はないけれど、一番大きい子で、小学六年生くらいだろうか。
それくらいの男の子たちは、女の子の着替えるところを興味津々な顔で見つめていた。ちょうど思春期に入った子もいるのかもしれない。
なんというか、雑だ。全てにおいて扱いが雑。
皆が着替え終わった頃を見計らって、吸血鬼が「今日からお前たちは家畜としてここで我らに血を提供してもらう」と叫んだ。
吸血鬼が何人か寄ってきて、全員分のデータを記録していく。
それが終われば、あとは、放置。
吸血鬼は皆どこかに引っ込んでしまった。
小さな子は恐怖に泣き出してしまって、大きな子供は早々にこれからどうするか話し合う姿も見られた。
私はそんな子供たちを置いて、都市を探検してみることにする。
ずっと探し続けて、やっと入れた吸血鬼の地下都市。彼の手がかりがあるかもしれないと考えただけでわくわくしてきた。
「ふん、ふん、ふん…ん?」
歩いているうちに何度か吸血鬼とすれ違ったけれど、彼らは人間には全く興味がないらしく、ことごとく私のことをスルーしてくれた。
これ幸いとずんずん都市の奥へ進んでいくと、少し先にフードを被っていない吸血鬼がいる。貴族だ。
咄嗟に物影に隠れる。相手に害意があるか否か。あれば、一瞬で殺されてしまう。
殺されたところで生き返るとはいえ、痛いのは嫌だ。死ぬ感覚も気持ち悪い。
避けられるのなら、全力で避けたいのだ。
その吸血鬼がこちらに歩いてくる。だんだん姿がはっきりと見えてきた。
背が高く、美しい顔。赤い瞳に、長い銀髪をリボンでまとめている。
その姿に、とても見覚えがあった。
「ん〜?なんか大きい家畜がいるなあ。大人はみぃ〜んな死んじゃったんじゃなかったけ?」
「ふぇ、ふぇ…!?」
「あれ」
ぷるぷる震える手で指を向けると、それも私の顔を見て軽く驚いた顔になった。
「…くしゃみでもしたいの〜?いいよ、思いっきりやっちゃって」
そう言って楽しそうに笑うのは、かつて私と彼を引き離す原因となった変態吸血鬼、フェリド・バートリーだった。
98人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
リリア - 最高です!!!!! (2021年8月14日 12時) (レス) id: c153dc8275 (このIDを非表示/違反報告)
さとう(プロフ) - ベルモットさん» 色気…!!ありがとうございます!嬉しいです…! (2020年4月19日 13時) (レス) id: 419fa80be8 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - ストリート展開や文章に色気があってリアリティーが感じられました。 (2020年3月28日 17時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
さとう(プロフ) - 黒胡椒さん» ありがとうございます!がんばります〜! (2020年2月19日 0時) (レス) id: 419fa80be8 (このIDを非表示/違反報告)
黒胡椒(プロフ) - 好きです!更新頑張ってください! (2020年2月18日 16時) (レス) id: e2f590a1cb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:さとう | 作成日時:2020年2月9日 21時