吸血鬼になった彼との (ページ5)

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へりこぷたーページ5

連れて行かれた先は、黒くて大きなヘリコプターだ。

兄妹と一緒に、無造作に詰め込まれる。中にいたのは全員子供ばかりで、一人だけ大きな私はなんだか目立つ。

先に中にいた子供たちからの視線が痛い。日本人ではない見た目と、大人が死んだ世界に生きている私。

ぱっと見たら、まるで吸血鬼だ。もちろん耳は尖っていないし牙も生えていないのだが、子供たちの恐怖心を煽るには充分な見た目をしている。

ごめんねー、大丈夫だよー。私、怖くないよー。

そんな思いを乗せて、へらっと笑顔を向けてみるが、警戒が緩んだのは三、四歳くらいの子供たちが主で、八歳とか、十歳を迎えていそうな子たちはまだ私から距離をとっている。

一緒に連れてこられた兄妹は、中にお友達を見つけたらしくそちらに走って行ってしまった。私、ひとりぼっち。

…いいもん、一人には慣れてるもん。

ちょっとだけしょんぼりしつつ、隅っこの方に腰を下ろす。
しばらく待っていると、ヘリが動き出した。一体どこに連れて行かれるのだろう。

考えられるのは、吸血鬼たちが住んでいるらしい地下都市のいずれか…と、そこまで考えてはっとした。

地下都市には、きっと貴族がいる。もしかしたら、私が探し続けている彼がいるかもしれない。

可能性は低いだろうが、今まで地上ばかりを探し続けていたのだ。それで見つからないなら、地下に希望を見たっていいじゃない。

よし、ちょっと元気が出てきた。

不安げな顔をする子供たちに囲まれながら、私は一人で、彼に会ったらなにをしたいかを考え続けていた。

それは昔からの癖で、暇な時間ができると、ついそんなことばかりを考えてしまうのだ。

ヘリコプターが目的の場所に着いたのは、それから三時間後のことだった。