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そうして三歳の頃にこの孤児院へやって来た俺は、今じゃ一番の古株だ
紛争孤児だけでなく、不慮の事故で親を失った子や捨て子など、下は赤ちゃんから上は十歳前後まで、基本十五人程がここで暮らしている
聖都の施設と同様、子ども達全員を新たな家庭へ送り出す事が、先生の目標らしい
だからこそ身の回りの事は自分達の手でさせようとするし、最低限の教養が無ければ苦労するのは俺達だからと、毎日必ず勉強時間が設けられている
それが、学校の授業より丁寧で分かりやすく、特にこの国の歴史については直接見てきたんじゃないかってくらい詳しい事もあって、先生と慕われる一因となっている
当の本人は、自分はそんな柄じゃ無いから、と何度も名前で呼んでくれと頼む有様だけど
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養子縁組が成立して、新たな人生を歩み始めた子ども達を、俺はこれまでに何人も送り出してきた
先生のお眼鏡に叶う家庭は文句のつけようも無く、出て行った奴らを街で見掛けても、誰もがみんな明るい笑顔を浮かべている
うちではどんなに遅くても十歳を過ぎるまでには養子縁組の候補が決まって、数ヶ月もせずに孤児院を出ていく事がほとんどだ
だから、俺みたいに十五を過ぎてもここに残っている奴なんて、きっと今まで一人も居なかったはずだ
だけど、別に悔しいとか悲しいだとか、そんな風に思う事はない
“売れ残り”だなんだと馬鹿にされようとも、俺にとっては大したことでは無いからだ
まあ、そんな態度が気に食わないんだと、余計に絡まれる原因にもなっているんだろうけども
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昼ご飯の後、部屋で読書をしていた俺の元へ先生がやってきた
「ねえ、潤。一つ頼まれて欲しいんだけど、いいかな？」
「なに？」
「この後来るお客さんに、お茶を出して貰いたいんだけど」
「いいよ。でも、ちび達じゃなくて俺でいいの？」
孤児院にやってくる客は、養子縁組を希望する夫婦がほとんどだ
だから先生は、先方の希望に合う子どもに、お茶の準備をよく手伝わせている
「今は算数のお勉強の時間なんだ。それに、これから来るのは僕と智くんのお客だからね」
「ああ、例の」
「そうそう」
「ん、いいよ。部屋にいるから、来たら呼んでね」
「ありがとう」
ひらひらと手を振って、先生は戻っていった
すぐにちび達の元気な声が届いてきて、勉強の具合を見に顔を出したんだと分かる
俺もまた、本の続きへと目を向けた
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しゅり(プロフ) - きよさん» きよさん、最後までお付き合いいただきありがとうございました！ 出来るだけハッピーエンドを迎えられるように、と思っていたので、そう言って頂けて嬉しいです。型破りな自由奔放神父様を感じて頂けてありがとうございます笑 素敵なコメントありがとうございました！ (2021年2月13日 19時) (
レス) id: 9366a89cfd (このIDを非表示/違反報告)
きよ(プロフ) - しゅりさん、完結おめでとうございます。アポロ様どうしたらいいか解らなくなってたんですね。ちょっとツンデレ気味？智くんの神父様は、何にも縛られない智くんならではの素敵な神父様なんだろうなと納得です。潤くんも生まれ変わって、みんな幸せで良かったです。 (2021年2月9日 20時) (レス) id: d9af776466 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しゅり
| 作成日時：2021年1月19日 18時
