prologue ページ1
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“ Somewhere over the rainbow, bluebirds fly…”
扉の向こうから漏れ聞こえてくる唄声に、僕は思わず足を止めてしまった
そっと目を閉じ、美しい声で奏でられる旋律に耳を澄ませる
自然と笑みが浮かんでいて、今年もこの日がやって来るのを心待ちにしていたんだな、と自分のことながらぼんやり思う
やがて唄が終わり、静寂が訪れるまで待ってから、僕は扉を開いて中へと足を進めた
既に僕の気配に気付いていたのか、入ってすぐ、そこに居る人と目が合う
「おはようございます、御子様。朝食の準備が出来ておりますが、いかがされますか？」
「うん、頂こうかな」
真っ白な装束に身を包み、赤い宝玉を首から下げた御子様は、優しい笑みを浮かべると
「いつもありがとう、ジュン」
「滅相もございません。御子様にお仕え出来ることが、僕の幸せなのですから」
一年ぶりに耳にした、自分の名を呼ぶ御子様の声に、胸が震える思いがする
恭しく頭を下げれば、そんな事しなくていいのに・・・と、困ったような呟きが聞こえて来るのも、実に一年ぶりのことだ
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僕はここ聖域にて、アポロ様の元で御役目を頂いている
名誉あるこの御役目の中でも、僕にとって最たる幸福は、御子様の身の周りの御世話をさせて頂けることだ
この国の領土の中にあるにも関わらず、聖域へと足を踏み入れる者は誰もいない
この国の歴代の王ですら、アポロ様のお姿を直接目にすることができた者は限られているだろう
聖域には、アポロ様がお選びになった、限られた者だけしか入ることが出来ない
僕の知る限り、今ここに暮らしているのは、アポロ様を除きたったの三人のみ
遥か昔には、国の代表として選ばれた、唄い手と呼ばれた者達が一生をここで過ごしたと語り継がれているが、その当時のことを知る者は、もはやどこにもいないだろう
「ジュン、アポロは・・・？」
御子様の声に、遠くへ飛んでいた意識が瞬時に引き戻される
不思議そうに僕をじっと見つめる大きな瞳に、思わず頬が染まるのを自覚しながら、アポロ様から事前に伝えられていたことをそのまま口にする
「聖域の近くに不届き者が潜んでいるようで、結界の強化に向かうと仰っておりました。御子様の唄は夜にお聴きになるそうです」
「そう・・・」
興味なさそうに呟いたかと思うと、御子様の視線は、すっと窓の外へと向けられる
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しゅり(プロフ) - きよさん» きよさん、コメントありがとうございます。二人が何を目指すのか、その結果ぎどう繋がっていくのか、これから徐々に明らかになっていく予定ですので、引き続き楽しんで頂ければと思います。 (2020年10月24日 20時) (
レス) id: 9366a89cfd (このIDを非表示/違反報告)
きよ(プロフ) - しゅりさん、更新ありがとうございます。読むにつれて不安になってきます。過去の記憶を持つ二人が何をするのか、翔くんが一緒にいる彼が雅紀だとして何故寝たきりなのか、無事に成功したとしても翔くんと雅紀は何十年と聖域にいたから戻って平気なのか、すごく不安です (2020年10月24日 7時) (レス) id: ae2dee5c90 (このIDを非表示/違反報告)
しゅり(プロフ) - はるさん» はるさん、こちらにもお立ち寄りくださりありがとうございます。智目線で、少しずつ進んで参りますので、是非楽しんで頂ければと思います！ (2020年10月12日 19時) (レス) id: 9366a89cfd (このIDを非表示/違反報告)
しゅり(プロフ) - まりもさん» まりもさん、早速お立ち寄り頂きありがとうございます。まだまだ他のメンバーも登場してまいりますので、そちらも楽しんで頂ければと思います！ (2020年10月12日 19時) (レス) id: 9366a89cfd (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - しゅりさん、こんばんは。続編ありがとうございます！とても嬉しいです。あの時の2人がどういう風になっていくのかとても楽しみです！ (2020年10月11日 21時) (レス) id: 6cd0f843d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しゅり
| 作成日時：2020年10月11日 19時
