ヴァンパイアと少女の残酷で、暖かい昔話…【蒼井翔太】

第68話 ★ 最後の頼み… 【過去】 ページ23

賢章｢…ほら、俺が誰だかちゃんとわかってるじゃん…。｣

翔太｢ｯ…！｣

賢章｢俺からの、最後のお願い…。聞いてよ…。｣

翔太｢…。｣

俺は無言で家に向かった…。

翔太｢…聞かない…。俺は聞かないぞ…。｣

賢章｢…殺してほしい…。｣

翔太｢ｯ…！じゃあ、俺はあの時なんでお前を助けた！｣

賢章｢…。わかってる。俺は、確かに翔太にあの時助けられた…。だから、だからこそっ！翔太に終わらせて欲しいんだ…。｣

翔太｢何言ってるんだ！！｣

賢章｢…しょうがないだろ！俺はもう、半年しか生きられない…。｣

翔太｢…な、に言ってんだ…｣

賢章｢医者に言われた…。もう、なんの治療法もないって…。手遅れだって…。俺はなんとも思わなかったんだ…。仕方ないって…そう思った…。でも、空が！…空が泣くんだよ…。香菜も…先生に泣きながらなんでもいいから治療してくれって…泣きながら頼んでた…。｣

香菜…。賢章の妻か…。

賢章｢俺は、あの２人の、悲しむ顔は見たくない…。｣

翔太｢なら…｣

賢章｢だから、俺を殺して、あの2人と、俺に関わったやつ全員の記憶を消してほしい…。翔太なら、できるでしょ？…頼むよ…。翔太しか、頼めないんだよ…？こんなこと…。｣

翔太｢……。｣

俺は、何も言えなかった…。

何故だ…？何故、みんなは俺にこんなことを頼むんだ…？母さんだって…。Aも…。なんで俺と信頼関係になった人たちは皆…。俺に殺してと頼む…。

賢章｢…。殺してよ…。前、人の血を飲んで殺した時みたいに…！人の腹を爪で裂いて殺した時みたいに…。｣

翔太｢……。空は…あの後どうなった｣

賢章｢…元気だよ？翔太にあいたがってる。｣、

翔太｢なぜ？｣

賢章｢お話したいんだって。しょーたんの悩み、聞きたいって…。｣

翔太｢俺のこと、怖がってないのか…。｣

賢章｢うん。｣

翔太｢ほんと、意味わかんねーんだよ…お前らは…。｣

賢章｢うん…。そうだね…。…ねぇ、しょーたん。俺が、結婚式の時、翔太と話してた時言った言葉、覚えてる？｣

翔太｢…賢章が、俺に…？｣

賢章｢…うん。俺のこと、殺してもいいよって。それまでは俺はお前の親友だって…。｣

翔太｢…！｣

賢章｢…ね？｣

…。

翔太｢…俺は…どうすれば…。｣

賢章｢…翔太が思うようにすればいい…。あぁ、それとね？…俺を殺したあと、俺の病室に行ってほしい…。ベッドの横の引き出しに…。｣

翔太｢…？｣

第69話 ★ 約束は、守る… 【過去】→←第67話 ★ 愛情を貰った奴らは… 【過去】

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す