混沌 ページ15
《シークside》
──何照れてんの、俺……？！
廊下を全力疾走する。後ろから「走るな」という敬人もしくは椚先生の警告が聞こえたが、気にしている余裕など無かった。
何で逃げているのかも分からない。
とにかく今は混乱している。
階段を一段飛ばしで駆け上がって、3-B教室の引き戸を力任せにスライドした。
ドアレールが凄まじい音を立てた。
「うるせえ」
「ねえ、リュークン！」
幼馴染みの注意も聞かず、荒い息で彼の机に両手を叩きつける。
「ヤバい、何なの兄さん……！！あ、愛してるとか、普通弟に言う！？意味分かんない……！はぁあ……顔熱い……」
鼓動が、心臓を内側から殴られているかの様に打ち鳴って痛い程だ。爆走が理由ではないのは歴然だった。
暴れる心臓を誤魔化すようにマシンガントークをかます俺を見てリュークンは「物も覚えず」といった表情だ。
意味:どうして良いか分からない、呆然としている
重要古語だよ、みんな覚えようね！
「……あ〜、熱いならまず上着脱げや」
リュークンは考えに考えた結果、俺の体調を心配した。
「はぁ、はぁ……そうだね」
促されたように、ブレザーを脱いで腰で結び、スクールシャツのボタンを第三ボタンまで開けた。籠った熱気を、涼しい風がさらっていく。
だんだん心が落ち着いてきた。
「開けすぎじゃねぇか」
「リュークンにダケは言われたくナイ」
惜し気もなく覗く黒いシャツを見て、肩をすくめる。
「いやソンナ事より！！」
もう一度机を叩く。
「俺の兄サン、カッコ良すぎなんだケドぉ……！！」
興奮して近くにあった机を思いきり蹴る。
「ぅわわ……？！！」
あ、ヤバ。ツムギの机じゃん。
リュークンが、そういう事をするからキチ◯イと言われるんだ、みたいな顔をして俺を睨む。
静かに本を読んでいたツムギに飛び火してしまったのは申し訳ない。
「ゴメン、ツムギ……！でも悪イのは俺でもツムギでもなくて、ジゼル兄サンだからぁ！」
「え、えぇ？お兄さん、ですか？」
ツムギは目を白黒させ、本に栞を挟む。
「ソウ！俺の兄サンがぁ……！！」
「我輩がシークのお兄ちゃんじゃよ〜」
「ふぁッ？！」
ツムギに説明しようとしたのに、いきなり後ろから誰かに抱き締められた。
俺は兄さんの話がしたいのに！
「おやぁ、熱烈な抱擁ですね、私も混ぜてください！」
「わはは！面白い事になってるな！俺も俺もっ！」
リュークンが傍らで溜息を吐いている。
だから俺に兄さんの話をさせろッ……！！
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流離いのsecret(プロフ) - ぎゃぁぁ本当だ……！ご指摘ありがとうございます！ 細かいところまで読んでいただき嬉しいばかりです笑 (今後気を付けます笑) (2019年7月13日 22時) (
レス) id: 451ca50573 (このIDを非表示/違反報告)
しか - ごめんなさい。｢混沌｣でした!! (2019年7月13日 21時) (レス) id: 3bc0209618 (このIDを非表示/違反報告)
しか - ｢悩み｣の話の｢敬人｣が｢敬斗｣になってますよ（コソッ面白かったです。これからも頑張ってください！ (2019年7月13日 20時) (レス) id: 3bc0209618 (このIDを非表示/違反報告)
流離いのsecret(プロフ) - ありがとうございます！頑張ります！(語彙力ない)笑 (2019年6月24日 14時) (レス) id: 451ca50573 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん - 面白いです(語彙力ない) (2019年6月23日 21時) (レス) id: 19c16fa711 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：流離いのsecret | 作成日時：2019年5月2日 14時
