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休日: 夜 ページ39

あれから無事に帰って来た僕は、ざっと薔薇の咲き誇る庭園を巡回していた。うん、今日も美しいね。庭専門のメイドが僕の言いつけた通りの世話をしてくれただろう事が分かる。
出来栄えに満足し、家に入った。

その後は、シークが暇潰しに作ったという至極美味な夕食を摂り、Aのお気に入りであるピンクの入浴剤が入ったお湯に浸かり、リビングで医学書を読み、ゆったりとした時間を過ごしていた。
すると、お風呂上がりでより甘い香りを纏ったAが、乾かした後らしい髪をふわふわ揺らしながら僕のもとへやって来た。

「ジゼルお兄ちゃん、あのね!」
その表情は何かに怯えているようだった。
僕の隣に座り、僕の腕をぎゅっと抱き締め、
「シークお兄ちゃんの怖いお話聞いてから、ずっと怖くてね、お風呂でもオバケがいるんじゃないかって怖かったの!」
要領を全く得ていないが、最高に可愛い。妹可愛い。怖かったんだね。

「大丈夫、お化けの存在は科学的に証明されていないんだ」
「かがく、てき……?そうなんだ!」
「でも、その調子じゃ、一人で眠れないんじゃないかな?目を閉じた途端、目の前に怖〜いお化けがAを食べようと大口を開けているかもしれない」

証明されていない、と言っておきながら少し脅してみる。
「っ!!やだ!お兄ちゃん、一緒に寝ようよ〜!」

はい来た計算通り

「うん、良いよ。僕がAを守ってあげるからね」
僕にすがって怖がるAをひどく優しく抱き締めた。

夜の10時、僕にとっては早い就寝の時間。
Aは既に己が腕の中で気持ち良さそうに眠っている。普段は愛くるしく上下する長い睫毛がぴたりと動かないので、まるで死んでいるかのようだ。僕は昔からこの眺めが好きだった。

妹の首に手が回らないよう細心の注意を払う。少しでも触れたら、箍が外れて思いきり締め付けてしまうかもしれないから。

僕は昔から可愛いものを見ると締め付けたくなる欲動に駆られてしまう。実際、僕が10歳だった頃、5つ下のクロウが可愛すぎて殺しかけた事があった。
ゆっくりと指が沈む感触と苦しげなあの表情を思い出す。それだけで感情が熱く昂る。
ああ駄目だ、落ち着け、僕。
眠る事だけに全精神を集中させろ。

幾度も、無防備に開いた首もとに誘惑されかけたが、Aの生は僕の理性によって守られた。良かったね、A。
おかげで僕は寝不足だ。

外で雀が朝を告げていた。

三日目・4人目の来訪→←休日: 夕方



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流離いのsecret(プロフ) - ぎゃぁぁ本当だ……!ご指摘ありがとうございます! 細かいところまで読んでいただき嬉しいばかりです笑 (今後気を付けます笑) (2019年7月13日 22時) (レス) id: 451ca50573 (このIDを非表示/違反報告)
しか - ごめんなさい。「混沌」でした!! (2019年7月13日 21時) (レス) id: 3bc0209618 (このIDを非表示/違反報告)
しか - 「悩み」の話の「敬人」が「敬斗」になってますよ(コソッ面白かったです。これからも頑張ってください! (2019年7月13日 20時) (レス) id: 3bc0209618 (このIDを非表示/違反報告)
流離いのsecret(プロフ) - ありがとうございます!頑張ります!(語彙力ない)笑 (2019年6月24日 14時) (レス) id: 451ca50573 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん - 面白いです(語彙力ない) (2019年6月23日 21時) (レス) id: 19c16fa711 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:流離いのsecret | 作成日時:2019年5月2日 14時

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