寝ても覚めても。【amnos】 (ページ36)

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校庭の、校舎側の端に設置された大きなステージの周りには人がたくさん集まってた

校庭にたくさん並んでた模擬店の屋台は、看板とかがすでに外されている

松本くんはドラキュラ伯爵の恰好のままで
わたしももちろんトイレの花子さんのままだけど

たぶん松本くんがイケメてるからすごくめだってる、わたしたち

クラスで固まってるところに移動するのに、私たちのクラスは前のほうらしくて
松本くんはずんずん進むけど
じろじろ、こっちを見てる人たちの視線に気づいてない！

手を放してって言いたいのに！

松本くんにつれられるまま歩いてる間、ステージをちょっと見たらお兄ちゃんがいた
近くに、副会長なはずの仲原さんの姿はない

うろうろとあちこち見て、お兄ちゃんのクラスの人たちのいる場所を見つけたけど
和くんも見つからない
大ちゃんも

なんで

なんで？

「松本くん！」
潤「なに」
「ごめん、ちょっと行きたいところがあって！」
潤「もう後夜祭始まるぞ？」
「そうだけど！…ごめんね、わたしはいいから、離して？」

握られたままの右手が見えないくらい大きな松本くんの左手にそっと触れて
指をほどこうとしたら
ぎゅう、っと強くなった力に驚いた

「……まつもとくん？」
潤「・・・」
「…痛いよ？」
潤「…どこに、行くつもり？」

松本くんの瞳がギラリと揺れる
石にされそう
どきん、と緊張してのどが固まる

「わたし、和くんのところに、行かないと」
潤「どうしてだよ」
「…どうして、って、いわれても、分かんないけど」
潤「・・・いいから行くぞ」

手を離さないまま、強い力で引っ張られる

どうして！

「松本くん！」
潤「なんだよ！」
「離してってば！」
潤「二宮のところなんて行ったって無駄だって！いい加減気づけよ！」

松本くんが放ったその一言が
なんだか無性にムカついて
力任せに、松本くんの手を振り払った

ふん、ってそっぽ向いて方向転換して
急いで来た道を戻る

おい！って後ろから聞こえた声に
周りの人たちがなんだ？ってこっちを見て

急いで地面を蹴って
松本くんとわたしの追いかけっこが始まった

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