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「乾くん？」
乾「……あ、え、っと、名前……」
「……あ！櫻井です！同じクラスの！」
乾「いや！あれ！知ってます！…そうじゃなくて、俺の名前……よく知ってたね」
「あんまり話したことなかったけど、でも、同じクラスだし」
乾「……うん、そっか、ありがとう」
3メートルくらい離れた場所で
ずっと口元を左手で隠してた乾くんが
ありがとう、って言葉の時に手を降ろして
くしゃって笑った。笑顔が可愛い。
今は放課後で、部活動に入ってない生徒はとっくにいなくなってる時間。
乾くんも、制服じゃなくて、
この格好は…。
「乾くん、バスケ部なの？」
乾「あ、うん。練習中で、いま」
「相葉くんと一緒なんだねー」
乾「櫻井さん、相葉と仲良いもんね」
「うん！でも、乾くんが相葉くんと一緒の部活っていうのは知らなかったよ！そういえば、夏は相葉くんと同じ日に公欠だったような？」
乾「よく覚えてるね(笑)」
話してる間に、水をためてたバケツが溢れそうになって
しまった！と思って慌てて蛇口に手を伸ばしたら
両手に分けて持っていた筆がガン！って勢いよくバケツにぶつかって
中の水ごとひっくり返ってしまう。
「わわわ！」
急いでバケツを戻そうとして
同じようにバケツに手を伸ばした乾くんとわたしの
さっきまでの距離がいっきに縮んで
傾いたわたしとバケツを
乾くんが支えてくれる、形になった。
「ごっ、ごめんなさい！」
慌てて離れて謝る。
多分わたし今、真っ赤だ！
乾くんから反応がなくて
こっそり確認すると
乾くんも真っ赤になってて。
目が合って、二人で真っ赤っか。
「……わたしが至らず、…すみません」
乾「俺の方こそ、とっさに手が出て、…すみません」
真っ赤っかで謝りあう。
先に乾くんの方が、くすって笑った。
乾「悪いことしてないのに、謝んなくていいんだよ」
「…それなら、乾くんもだよ！」
乾「あ、そっか」
「ありがとう！だね、助けてくれて」
乾「こちらこそありがとう」
「……乾くんさっきからありがとうの使い方がちょっと変だよ？」
乾「そうかな？」
「そうだよ！」
乾くんの笑顔、可愛い。
つられて笑っちゃう。
乾くんが救ってくれたバケツを受け取って筆も持ち直して
準備オッケー、さあ戻ろう。って思って
じゃあね、って切り出したら、大きな声で呼び止められた。
乾「櫻井さん！」
「わ！はい！」
乾「……櫻井、Aさん」
「……はい？」
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作者名：モナ
| 作成日時：2017年4月3日 22時
