寝ても覚めても。２ (ページ3)

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嫌な女になったあの日から
わたしはそんな私を隠すのに必死だった。

気づいたら学校祭の日からもうとっくに一か月を過ぎて
11月の後半。

いつもみたく放課後の、美術室。
わたしと大ちゃんだけの空間。

あれからわたしは、大ちゃんにぴったりくっついて座れなくなって
困ったことも、なんでもかんでも、大ちゃんに話していたことが話せなくなって

大ちゃんの向かい側に座って
ニコニコしながら絵を描く毎日。

最初は大ちゃんも、あれ？って変な顔してたけど
大きい絵が描いてみたくなったのってわたしが言うと
隣じゃ狭いってか。と納得したもよう。

智「……最近、Aご機嫌だ」
「そうかな？普通じゃないのかな？」
智「ずーっと笑ってるし」
「楽しいもーん」
智「何かいいことあったの」
「ないよー！いつもどおり！」

大ちゃんとの会話は
わたしが核心を突かないから
最近はずーっと、空気の中でふわふわ浮いてるみたいな

ちょっと遠慮気味な
距離が出来た、会話になった。

そう感じるのは私だけ？
わたしだけかな。
うん。そうかも。

智「……調子はどうだー」
「大ちゃん、どっかのアイドルみたい！」
智「アイドル？(笑)」
「変なのー」
智「……変なもんかー、変なのは、A！」
「どうして！わたし変じゃないもん！」
智「最近、俺に、あんま、話してくれないぞ」
「……こんなに話してるのに？」
智「そういうことじゃ、なくて」

じーってわたしを見つめる
ちょっと恨めしそうに。

う。上手に誤魔化さないと。

「わたしも女子高生だもんね！大ちゃんに話せないことの一つや二つ！」
智「ふたつも、あんのか」
「三つだって四つだってあるかもね！」
智「そんなに」
「もう大人です！」

大ちゃんが目をまんまるにして驚いてるすきに
バケツの水の交換！って言って美術室を出る。早足。

はあ！ドキドキした！

絵具が混ざって黒っぽくなった水をトイレの流しに捨てて
ついでに持ってきてた筆を、トイレを出てすぐの廊下の手洗い場みたいなところで洗う。

絵具で汚れた水はトイレでしか流しちゃだめって、顧問の先生のお達し。
小さい、筆くらいなら、ここで洗ってもオッケー。
洗ってる間に、バケツに新しい水をためる。

「……あ、」

低くて聞きなれない音に、
ん？って反応したら
目線の先に立っていたのは、同じクラスの、少しだけ話したことのある男の子。

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